研究課題/領域番号 |
18K03053
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大対 香奈子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (80509927)
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研究分担者 |
大久保 賢一 畿央大学, 教育学部, 准教授 (40510269)
田中 善大 大阪樟蔭女子大学, 児童教育学部, 准教授 (60729143)
野田 航 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70611440)
庭山 和貴 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 准教授 (80805987)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学校規模ポジティブ行動支援 / 教員のメンタルヘルス / 教員の専門性 / 応用行動分析学 |
研究実績の概要 |
本研究では学校適応アセスメントのための三水準モデルに基づき,成果を体系的に データで示し,実践における意思決定に活用できるシステムを構築することを第1の目的とし,また,SW-PBSの実践の忠実性を高めるために教師が獲得すべき専門性を同定することで,忠実性の向上に効果的な研修プロトコルを開発することを第2の目的としている。 本年度は2018年度と2019年度に行ったSWPBSの実践から,その効果を三水準モデルに基づいて検証した。したがって,目的1の「三水準モデルに基づき成果を体系的にデータで示す」という点については遂行できた。また,SWPBSの実行度を測定するための指標であるTFIの日本語版を開発し,SWPBSを実践している学校数校において実行度の測定を行い,さらに教師個別の実行度を測定するためのチェックリストも開発し,個別の教師がSWPBSに沿った実践をどの程度行っているかについても測定を行った。SWPBS実施校と非実施校を比較することで,SWPBSを実施している学校で教師にどのような実践が増えるのか,また実施していても実行しにくいSWPBSの手続きは何かということが明らかになってきた。 特に,データに基づく意思決定やデータの活用については,SWPBSを実践している学校においても実行度があがりにくい要素であることが示されたことから,データの活用を促進するツールとしてのアプリの開発を進めてきたが,目的2である研修プロトコルの開発までは到達できなかった。 2020度までに収集したデータをまとめた成果については,日本心理学会や日本行動分析学会等で発表を行い,また論文としても現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はコロナ禍による学校の休校があり,年度の前半は学校での実践および研究ができない状況があった。また,学校現場ではコロナへの対応による多忙な状況があったことから,研究への協力要請が難しかったことや,SWPBSを行う上での校内研修の機会も減少したことなどがあり,予定していたようには研究を実施できなかった。2学期以降は学校の再開により,例年実施していたアンケートは実施することができたが,現場での行動観察や新規で追加した指標のデータ収集は限界があったため,これまでに収集したデータの分析やその成果を論文としてまとめることなどを中心に進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍により特に海外での学会が全てオンラインでの開催に切り替わったことで,学会参加のために計上していた予算執行がなかったことから,研究期間を1年延長した。それにより,1年間の猶予ができたため,まだ十分に行えていない研究目的2の研修プロトコルの開発を中心に,今後は進めていく予定である。現在もコロナ禍の状況は続いているが,学校で行うSWPBSの研修も集合形式だけではなく,オンラインや動画配信などの形式も検討し,動画コンテンツとしての研修プログラムの制作を進めていく。 また,最終年度となるために,これまでの研究成果を論文等にまとめ発表していくことも積極的に進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
例年,アメリカで開催されるAPBSの学会に参加しているため,そのための旅費を予算として計上していたが,コロナ禍により学会開催がオンラインとなったため,また国内の学会も全てオンラインに切り替わったために,予定していた旅費の執行がなかったことで,次年度使用額が生じた。 次年度使用額となった予算については,SWPBSの研修用動画の制作費および,英語での論文投稿のための英文校正費,またデータ入力等のための人件費として使用することを計画している。
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