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2020 年度 実施状況報告書

発達障害児の表出語彙学習過程に見られる非定型性

研究課題

研究課題/領域番号 18K03054
研究機関神戸学院大学

研究代表者

小山 正  神戸学院大学, 心理学部, 教授 (50242889)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード知的発達症 / 自閉スペクトラム症 / 表出語彙 / スピードアップ / 認知発達
研究実績の概要

定型発達児の初期の表出語のサイズについて,D’Odoricoら(2001)は,50語段階,100語段階,200語段階を示している。本年度は,定型発達児の資料の収集とともに,これまで縦断的に集積してきた知的発達症を背景にもつ自閉スペクトラム症 (ASD) の事例の表出語獲得におけるスピードアップと認知発達との関連性について,D’Odoricoら(2001)の段階に着目し縦断的に検討した。研究協力者は,児童発達支援センターに通所する前言語期から100語段階にある3歳から6歳の事例6例である。方法は,6か月に1回,日本版CDIと家庭での子どもの認知・遊びの発達に関する調査を保護者に記入してもらった。子どもとは,園の保育室において,原則として30分の筆者と1対1の用意した玩具(小山,2020)を用いた遊びの観察を行い,その様子をビデオ録画し,感覚運動的シェマとその協応,空間関係理解について分析した。結果として,CDIの表出語数,100語から150語の水準で,語獲得のペースが緩慢になるケースや減少する事例があり,その要因として,空間的操作における対象の配置や経路の予測,家庭での人の行為・経験の表象化の発達との関連性が示唆された。特に100語段階での語の減少が見られた事例では,日常生活での遊びの計画性や他者との遊びにおける自己統制や抑制能力と関連が考えられた。本年度の研究では,原則として6か月間隔で各事例の発達を検討したが,知的発達症を背景にもつASDの事例において,表出語数200語に達するまでのスピードアップに見られるパターンとして,(1) 6か月後にも有意味語の出現が見られない事例,(2) 6か月間に倍以上の急速な表出語彙の獲得が見られた事例,(3) 6か月間に表出語彙の増加は見られるがそのペースが緩慢な事例,(4) 6か月後に表出語数の増加が減少する4つのパターンが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

資料は集積でき,分析の段階に入っている。新型コロナウィルス感染症拡大のため, 英語圏での資料の比較のための英国における調査が延期となっている。

今後の研究の推進方策

本年度は,2020年度同様,縦断的資料を収集し,初期語彙学習や語彙領域の拡大における非定型性,その様相,発達速度と行動上との関連性を明らかにしていく。これまでの研究成果をまとめ,発表する。研究計画の変更はないが,新型コロナウィルス感染症拡大のため,分析,論文作成に遅れが生じているため,補助期間延長申請を行い,承認されている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染拡大のため,海外出張,およびアルバイトを雇うことができなかったため,次年度使用額が生じた。また,新型コロナウィルス感染症拡大のため,分析,論文作成に遅れが生じているため,補助期間延長申請を行い,承認されている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Early word production and cognitive development in children with general learning difficulties.2021

    • 著者名/発表者名
      Koyama Tadashi
    • 学会等名
      50th Annual Meeting of Jean Piaget Society
    • 国際学会
  • [学会発表] 知的発達症を背景にもつ自閉スペクトラム症の事例の表出語獲得におけるスピードアップと認知発達との関連2020

    • 著者名/発表者名
      小山 正
    • 学会等名
      日本心理学会第84回大会
  • [学会発表] 初期語学習の速度と認知発達2020

    • 著者名/発表者名
      小山 正
    • 学会等名
      日本音声言語医学会第65回総会・学術講演会

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公開日: 2021-12-27  

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