研究実績の概要 |
本研究は、乳児の気質や愛着、家庭での養育が幼児期の自己制御能力とどのように関連するのかを解明しようとするものである。発達初期(1歳時点)の気質(Effortful Control)、養育者との愛着、養育者の養育が、その後(3歳時点)の自己制御(認知制御と情動制御)、幼児期の社会的行動、仲間関係にどのように影響するのかを、行動観察、実験的調査、生理的測定を通して、縦断研究から総合的に検討する。 本年は、まず1歳児用のEffortful Controlおよび愛着関係の認知を測定する認知課題の作成を行なった。注視に基づくアニメ愛着認知課題(Jhonson,ら, 2007)、点灯パターン学習課題(Clohhesseyら, 2001)に基づいた課題を作成し、注視パターンの予備研究を行なった。 また、養育者に対する質問紙による乳児のEffortful Controlについては、乳幼児の気質測定について、世界各地の研究者とのデータ集積・分析プロジェクトに参加した。多様な文化の乳幼児に共通に、Surgency, Negative AffectivityそしてEffortful Controlという3つの気質が見られ、SurgencyとNegative Affectivityには地域差があるが、Effortful Controlでは地域差はなかった。この結果はSRCD(2019.3月)で発表された。 その他、本研究の前提となる幼児期の自己制御と児童期の学業や仲間関係との関係を検討した研究をISSBD(2018.7月)で発表し”Early Child Development and Care”に投稿した。また、幼児期の情動制御能力(Negative情動の沈静化)が仲間関係と関連するという研究結果と、乳児期から幼児期に至る過程を縦断的に検討する必要性を論文として本学紀要に掲載した。
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