研究課題
基盤研究(C)
本研究は,幼児期から児童期の子どもを対象に,「子どもの社会性を支える『察する』心の発達心理学的研究」に着目し,その発達過程を実証的方法で解き明かすことを目的とした。研究の結果,分配場面の社会性では,年齢が増すとともに,先行研究同様,利己的な分配から平等な分配を好むようになる平等バイアスと呼ばれる現象が見られるが,利益の分配と不利益の分配のいずれも,自分の分配数が他者と比べて多かろうと少なかろうと,自分一人が異なる状況を嫌う傾向があることが明らかになった。
発達心理学,教育心理学
社会性の発達は,身近なことで,とくに分配にかかわることは,道徳性の発達とも密接に関係するため,教育的に関心の高いテーマである。本研究の知見により,初等教育で見逃しやすい点を示唆することができ,教育実践現場での指導がより有益なものとなることが見込まれることから,研究の社会的な意義につながると考えられる。