研究課題/領域番号 |
18K03074
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
上村 佳世子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
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研究分担者 |
吉澤 千夏 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10352593)
加須屋 裕子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (60296291)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 食スクリプト / 食事行為 / 幼稚園 / 給食当番 |
研究実績の概要 |
本研究では、幼稚園の食事場面に新たに導入された食事当番のスクリプトが、子どもたちにどのように獲得されていったか、さらに、新たな役割の獲得によって子どもたちの食事行為のスキルや認識がどのように変化し、そのためにおとながどのように支援していくのかを明らかにすることを目的とした。昨年度は役割の導入による食事行為と子ども同士の関係の変化に焦点を当てて検討を行った。対象は前年度と同様に東京圏内の私立A幼稚園の4歳児Cクラス25名(男児10名、女児15名)を観察対象とし、担任1名補助職員1名で保育が行われていた。4月から毎月1回、12時前後から開始される給食の時間帯に教室を訪問し、食事の準備から終了までの食事行為の観察をおこなった。各テーブルにICレコーダを置き、部屋の隅2箇所に小型カメラを置くと同時に、観察者が筆記記録を取った。 6、7名から構成される交代制の食事当番の導入による食事行為の変化は、以下のようなものであった。まずは、配膳活動時に帽子を被って立ち働く当番者とそれを待つそれ以外の子どもたちの差別化が表れ、保育者や子ども同士でも言語化されることで役割が意識化される状況ができた。さらに、子どもたち同士での食器の数やメニューや食材とその配分量についての発話の頻度が高くなるなど、食事行為に積極的にかかわる態度が示されるようになった。結果として、食事時間が短縮され子どもの食事行為の個人差も少なくなった。保育者の給食場面へのかかわりは、当番役割の運営のために当番者とそれ以外の子どもの行動統制が加わったことで、むしろ増加したものと考えられる。一方で、保育者の各子どもの給食場面参加への方向づけが減少したことから、当番制の導入が子どもたちの食事行為の自立に機能したことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度の後半に研究協力者が在外研究で海外に出て、調査方法および項目を詰めることができなかったことと、新型コロナウィルスお影響で観察時に欠席者が急増した上、年度最後において対象保育者への円説調査を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
観察対象園の保育の再開を待って、今年度の観察を依頼する予定である。観察はこれまで同様に月1回3歳児および4歳児各1クラスの予定である。さらに、早急に3~5歳の幼児をもつ母親を対象としたweb調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の状況を脱して、幼稚園2園の給食観察が許可がされ次第、今年度の観察を開始する予定である。また、昨年度末に実施できなかったクラス担当教員への面接調査を実施する。母親へのweb調査は準備が出来次第、実施予定である。
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