研究課題/領域番号 |
18K03078
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研究機関 | 日本女子体育大学 |
研究代表者 |
中道 直子 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (10389926)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 幼児 / 社会的学習 / 食物 |
研究実績の概要 |
何を食べるべきかを学ぶことは,ヒトが毒を避け健康を維持するだけでなく,特定の社会や文化のメンバーの一員としてのアイデンティティを形成するためにも極めて重要な課題である。本研究では,幼児が周囲の大人や子どもから,「美味しい食物」や「健康な食物」についてどのように学ぶのかを検討することを目的とした。この目的のために,本年度は予備実験と,2つの本実験を実施した。 1.予備実験:4-6歳児を対象に,18種の食物の典型的な色をした物(例:紫のナス)と非典型的な色をした物(例を白いナス)をペアにして呈示した。その後,幼児に「どちらを食べたいか」を尋ねた。すると,18種中16種で,幼児は典型的な食物より,同種の非典型的な色の食物を拒絶した。 2.実験1:4-6歳児を対象に,(1)視覚的に拒絶される食物でも,他者の肯定的な味覚評価を聞く時(評価あり条件)に,評価を聞かない時(評価なし条件)に比べて,幼児はそれを食べたいと思いやすいか,(2)評価者が大人である場合と子どもである場合とで,視覚的に拒絶される食物の幼児の選択に与える影響力が異なるかどうかを検討した.その結果,(1)視覚的に拒絶される外見をしていても,他者からその食物に対する肯定的な味覚評価を聞かされると,幼児はそれを食物として選択した。(2)特に幼児は,大人より子どもによって美味しいと評価される視覚的に拒絶される食物を好んだ。 3.実験2:4-6歳児を対象に,実験1のパラダイムを用いて,他者の「健康評価」の影響を調べた。その結果,視覚的に拒絶される食物に対する他者からの肯定的な健康評価は,幼児にそれを食物として選択させる効果を持たないようであった。また,子どもの健康評価と大人の健康評価は,幼児の視覚的に拒絶される食物への選好に及ぼす影響力に違いはなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予備実験を含む3回の実験を順当に実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
上記の3つの実験結果を論文にまとめて投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの関係で,国内外の学会が中止となり,その分の旅費などを使うことができなかったため。
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