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2018 年度 実施状況報告書

「立腰」姿勢の身体化認知の教育的応用に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03082
研究機関関西大学

研究代表者

菅村 玄二  関西大学, 文学部, 教授 (80511724)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード姿勢 / 授業行動 / 体動 / 注意 / 観察 / 身体性 / 立腰教育 / 動作
研究実績の概要

「姿勢を正す」ことが学習態度に好影響を及ぼすことは,これまでにも示唆されてきたが(菅村,2016),自己報告がほとんどであり,授業行動上の変化は検討されてこなかった。そこで,以下の2つの研究に取り組んだ。
研究1では,小中学校に在籍する計80名の授業時の行動を観察し,小中学生が授業を受ける際の姿勢の変化や動作をコーディングし,動機づけや集中を反映すると推測される授業行動の分析単位を吟味し,分類した。その結果,(a)躯幹(背筋の直立/湾曲,体幹の回転,椅子からの体軸とずれ),(b)頭部(注視対象と無関係な前傾/後傾,右傾/左傾),(c)上肢(授業と無関係な腕の伸曲・指の動作),(d)下肢(脚組み,体軸とのずれ,伸曲)などが,授業時の姿勢変化として典型的であることが判明した。
研究2では,背筋を伸ばしやすいように改良された「立腰椅子」を用いて,中学生の授業中の姿勢について,通常椅子と比較した。単学級で生徒数は8名であった。3校時(国語)と4校時(数学)の授業風景を教室後部より静止画と動画で記録した。その際,最初の授業でクラスの半数を通常椅子,残りの半数を立腰椅子とし,次の授業で入れ替えてカウンターバランスをした。類似した学習場面は限られ,最初のほうの2分間の筆記場面を使用した。躯幹と下肢に着目してコード化した結果,前者として躯幹の傾斜,回転,後傾,後者として脚の曲げ伸ばし,脚組み,その他の動きが観察された。立腰椅子条件と通常椅子条件で大きな差はなかったが,体動が顕著であった生徒に焦点を当てて,体動時間を分析したところ,通常条件では88%であったが,立腰条件では48%であった。体動が顕著な場合には,立腰椅子が奏功する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実際の授業時の行動がわかるようにフィールド観察を行った。授業時の姿勢は,教師の話を聞く,板書を写す,教科書を読む,問題を解くなどの場面によって大きく変化し,またトピックの難易度や授業経過時間などによっても刻々と変化するため,異なる椅子条件で姿勢を比較する研究の場合,参加者内比較では異なる授業間で類似した場面を抽出することが実際上難しいという問題が浮上した。今回は,短時間ながらも,比較可能な時間帯を何とか見つけることができたため,本研究課題の第一ステップとしては,おおむね順調にスタートすることができた。

今後の研究の推進方策

今回は,生態学的妥当性の観点から,実際の授業場面のデータを取ることを優先した。しかし,異なる条件で比較するようなアプローチの場合は,比較可能な場面を抽出することが困難であるため,今後は,普段どおりの授業場面ではなく,教師の説明を聞く場面,教科書を読む場面など,状況と時間をある程度統制したうえで撮影するなど,自然観察だけではなく,実験観察の手法も採り入れていく必要があるだろう。

次年度使用額が生じた理由

備品としてノート型コンピュータ2台を購入予定であったが,使用するソフトウェアが最新版のOSに対応していなかったために,購入を見送った。また論文を投稿する段階まで進めなかったため,英文校閲費やArticle Processing Chargeを次年度に回すことにした。大学院生等に研究補助として行動データの分析を依頼する予定であったが,思いのほか高度な内容になったため,今年度は申請者が代わりに行い,次年度に院生に教授するように変更した。本実験の前準備として予定していた予備実験は,別の研究費で行っている実験と一部兼ねることができたため,内容を拡張したうえで次年度に改めて予備実験を実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] マインドフルな「立腰」教育は授業行動にどのような影響を与えるか? 小中学生の授業時の姿勢変化のコード化と中学生を対象とした予備的分析2018

    • 著者名/発表者名
      菅村玄二 村上祐介 本元小百合 上野雄己 稲垣和希 山本佑実 雨宮 怜 鈴木 平 春木 豊
    • 学会等名
      日本マインドフルネス学会第5回大会

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公開日: 2019-12-27  

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