研究課題
本研究は,教育現場でも多く用いられている客観テストについて,問題形式・問題パターンに着目して問題項目が測定している能力を実証的に明らかにすることを目的とするものである。(1) 問題形式・問題パターンに着目した受験者の解答プロセスの調査・分析を行うとともに,(2) 部分点を与える場合の採点方法の検討も行う。(1)に関して,昨年度からの継続として平成30年度に実施した調査で収集した記述式問題の解答データの採点作業を進めた。また,平成29年度に実施した実際の解答プロセスを記述させる調査で収集した解答データのうち,いわゆる知識問題と思考力問題の2問に対するデータを中心に分析を進めた。その結果,a)いわゆる知識問題であっても,知識だけでなく,推論を働かせる場合もあること,b)思考力問題では,解答過程は一つに限られず,問題文の内容を元に考えたり,グラフを読み取って推論を重ねるなど何種類かのパターンがあることが示された。この成果を日本テスト学会で発表した。これらの成果と平成29年度の別の機会に実施したアンケート調査の分析結果とを合わせて考察を行い,論文としてまとめ,学会誌に投稿した。(2)に関しては,正答選択肢が複数あるが,その数が明示されていない複数選択問題の採点方法について,平成30年に学会で発表した内容に基づいて,選択肢の数や正答数などについて様々な場合の得点をシミュレーションを用いて整理し,論文として発表した。
4: 遅れている
現在進めている科目に加えて他の科目についても調査を進める計画であったが,本年度は達成できなかったため,「遅れている」と評価する。その理由は,調査で取得したデータが自由記述式のものであり,分析に時間が掛かっているためである。調査データの分析結果を踏まえて他の科目についても調査の対象とする予定であったため,その計画を本年度中に実施できなかった。
研究の進捗状況は当初の計画よりも遅れているものの、着実に研究は進んでいる。これまでの調査で収集した解答データの分析を引き続き丁寧に進めるとともに,考察を深めていく。
研究の進捗が当初の計画よりも遅れているため,使用する計画であった調査のための経費や学会発表のための旅費等の支払いができず,次年度使用額が生じた。 次年度は,当初の計画に沿って新たな調査の準備や調査協力者への謝金,学会発表のための経費等として使用する計画である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Quantitative Psychology, 83rd annual meeting of the psychometric society, New York, NY 2018
巻: - ページ: 393-401