研究課題/領域番号 |
18K03091
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
竹澤 みどり 富山県立大学, 工学部, 准教授 (90400655)
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研究分担者 |
宮前 淳子 香川大学, 教育学部, 准教授 (10403768)
寺島 瞳 和洋女子大学, 人文学部, 准教授 (30455414)
松井 めぐみ 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 准教授 (60400652)
宇井 美代子 玉川大学, リベラルアーツ学部, 教授 (80400654)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 親密な関係における暴力 / 双方向暴力 / 縦断的検討 |
研究実績の概要 |
本研究では、一方向のIPVと比較しながら双方向のIPVの実態とその特徴を明らかにするために、半年間隔で3回の縦断調査を行った。昨年度1回目(T1)の調査を実施し、今年度は2回目(T2),3回目(T3)の調査を実施した。調査内容は、T1の調査内容(被統制感や葛藤解決方略など)に加え、T1調査時の交際相手との関係性の変化や現在の交際相手の有無について回答を求めた。IPVを測定する尺度は、どれも現在の交際相手との関係における経験をたずねた。 一方向の群(加害のみまたは被害のみの群)又はIPVの被害・加害なし群と比較して双方向群のIPVの特徴を明らかにするために分析を行った。その結果、双方向以外の群においては半年又は1年後にはその多くが被害・加害のどちらもなくなっていたが、それらの群に比べて双方向群は加害・被害が維持される割合が高かった。つまり、双方向の暴力が生じているカップルは一方向の暴力が起こっているカップルに比べて、暴力が維持されやすいことが明らかとなった。しかし、双方向群の中には他群と同様に被害・加害のどちらもなくなる人たちも一定数存在し、暴力の発生がなくなるカップルと暴力がなくならず維持されてしまうカップルの2つのタイプが存在することが推察された。さらに、他の変数がIPV被害・加害にどのような影響を与えているかを検討した。その結果、交際関係における統制感が低いほど後のIPV被害・加害経験を高めていた。さらに、カップル間で生じた葛藤を解決する際に用いやすい方略で、互恵的な解決方略を用いる傾向が低いほど、また相手に追従したり解決方略の実施を回避するような方略を用いる傾向が高いほど、後のIPV被害・加害経験を高めていた。これらの関連要因は期間によって関連するものが異なり、IPVに対して短期的影響と長期的影響があることが推測された。
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