研究課題/領域番号 |
18K03095
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉浦 義典 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20377609)
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研究分担者 |
佐藤 徳 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (00422626)
伊藤 義徳 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (40367082)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性頭痛 / 片頭痛 / 緊張型頭痛 / 不安 / 抑うつ |
研究実績の概要 |
片頭痛や緊張型頭痛などの慢性頭痛にはストレスが関与することが分かっており,認知行動療法の適用例も少数ながらあるが,効果は一貫しない。これは,現行の頭痛に対する認知行動療法が,どのような要因が最も頭痛症状に対する予測力が高いのかという認知行動モデルに基づいていないという限界のためと考えられる。本研究では,慢性頭痛と関連の認められるうつ病と不安症に関する知見を基盤に,慢性頭痛の症状に対する予測力の高い変数を精査し,認知行動モデルを開発することを目的としている。 まず,調査研究を行う前提として,慢性頭痛の種類(片頭痛/緊張型頭痛),頻度,重度を測定する尺度の妥当性を確認する必要がある。慢性頭痛の種別を判定する尺度としてBHS(Brief Headache Screen)と片頭痛スクリーナーというものがある。頻度,重度を測定する尺度としては,MIDAS(Migraine Disability Assessment)と HIT-6(Headache Impact Test)が,それぞれ片頭痛と頭痛一般の重度や頻度を測定する尺度である。これらの妥当性を検討した結果,BHSと片頭痛スクリーナーによる片頭痛のスクリーニングの結果の一致性が高いことがわかった。また,MIDASとHIT-6の項目を合わせた分析の結果,頻度・重度・生活支障度が一因子を形成することが示唆された。 また,認知行動的な予測変数としては,うつ病や不安症と関連するものが候補となっているが,その前提として不安と抑うつ症状と,MIDASとHIT-6で測定される頭痛の重症度との関連を見た。その結果,頭痛は抑うつと特異的に関連することが見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査は順調に実施できている。上記の因子分析と抑うつ・不安による頭痛の予測に関する成果をまず論文化する作業に取り掛かっている。
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今後の研究の推進方策 |
頭痛の予測要因としては抑うつが重要であることが分かったため,頭痛を予測する認知行動的要因としては,主としてうつ病(抑うつ)の予測要因を中心に,頭痛との関連を検討する予定である。また,BHSと片頭痛スクリーナーを用いて,片頭痛とそうでないタイプ(主として緊張型頭痛)とで,予測変数が異なるのかどうかも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
頭痛尺度の妥当性と不安・抑うつとの関連については,論文作成中である。英文校閲を発注するレベルの原稿に至るのが,新年度にずれ込んでしまったため,いくらか研究費が平成31年度にのこったが,順次英文校閲費用を支出したいと考える。
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備考 |
上記プレスリリースは複数のwebメディアに紹介されました。
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