研究課題/領域番号 |
18K03096
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
今田 雄三 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80263474)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コラージュ療法 / マガジン・フォト・コラージュ(MPC) / 面接能力向上のためのトレーニング |
研究実績の概要 |
令和2年度においては、以下の①~④のとおり研究を進めた。 ①MPCを用いたグループスーパービジョンが参加者に与える心理的効果について質的検討を行った成果が、学術論文「マガジン・フォト・コラージュ(MPC)の『クライエント体験』および『セラピスト体験』における心的プロセスに関する質的研究ー大学院授業アンケートのM-GTAを用いた検討ー」として、「コラージュ療法学研究」第11巻第1号に掲載された。 ②臨床経験5年程度までの心理援助職を対象に、1対1の面接場面に準じてMPCによるコラージュ制作体験とそのふりかえりを行う型式による個人スーパービジョンを実施した。その際、新たに開発した「コラージュ療法体験・セルフチェックリスト」を用いて体験者に自己点検を実施してもらい、MPC制作体験を用いた個人スーパビジョンの研修効果に関する質的データを収集した。 ③大学院生および臨床経験5年程度までの心理援助職を対象に、3~4名の小グループ単位で、MPCを元に考案した「簡易版MPC」の制作体験とシェアリング、および非臨床例の協力者が作成したMPC作品の解釈を中心とした演習から構成された新たなコラージュ療法トレーニングプログラムを実施し、研修効果に関する質的データを収集した。 ④上記の③のうち「簡易版MPC」の開発過程、および大学院生を対象とする1グループで実施した際のデータを元に、この技法の特徴や解釈仮説構築のための観点および研修効果についての知見などをまとめ、鳴門教育大学授業実践研究に紀要論文として投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来の最終研究年度であった令和2年度において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のため、研究代表者の所属する大学においても休講・入校禁止などが実施された期間があり、またそれらの措置が解除後もいわゆる三密を回避するため、20~30名規模で実施する計画であったコラージュ療法の体験プログラムを当初のままの形態で実施することが困難となった。そのため、研究計画を変更し、①臨床経験5年程度までの心理援助職を対象とする1対1の面接場面に準じたコラージュ制作体験を通した個人スーパービジョン、および②臨床経験5年程度までの心理援助職および心理援助職を目指す大学院生を対象とする小グループ(3~4名)でのコラージュ研修プログラムに分けて実施し、新たに開発したコラージュ療法体験チェックリストの使用による研修効果を検討することにした。しかし対象者を募集した後もコロナ感染の拡大状況に伴い、実施日程の延期が生じる等の事情により、当初の計画より約半年ほど遅れて令和2年3月末でデータ収集がほぼ完了した。なお、当初コラージュ療法トレーニングプログラムの成果について発表予定であった第12回日本コラージュ療法学会(R2.11.22~23:神戸大学)の開催も中止となったため、令和3年度に開催される第13回日本コラージュ療法学会において修正後のプログラムについての検討結果を発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度においては、以下のとおり研究を進める。 ①昨年度末までに得られた、MPCによるコラージュ制作体験を通した個人スーパービジョンにおけるセルフチェックリストを用いた研修効果、および大学院生および臨床経験5年程度までの心理援助職を対象としたコラージュ療法のトレーニングプログラムの研修効果のデータを質的に検討し、第13回日本コラージュ療法学会において発表する。 ②上記①の発表を元に、日本コラージュ療法学会の発行する学術誌「コラージュ療法学研究」に研究論文を投稿する。
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