令和3年度においては「簡易版マガジン・フォト・コラージュ(以下:MPC)」の制作を中核としたコラージュ療法トレーニングプログラム、および「コラージュ療法体験・セルフチェックリスト」に関する研究の成果を学会発表1件、紀要論文2編としてまとめた。 補助事業期間全体を通じた研究の成果は以下の①-④の通りである。 ①MPC制作を中核としたグループスーパービジョン(以下:GSV)の作品および感想などのデータを元に、MPC作品解釈のため印象評定、形式分析、内容分析による数量的検討を行った。②MPCを用いたGSVの参加者による「クライエント役としての心理的体験の感想」「セラピスト役としての心理的体験の感想」を元に、「MPCが制作者に与える心理的効果」および「MPCを用いたGSVが参加者に与える心理的効果」について質的に検討し、MPCを用いたGSVが面接能力向上のためのトレーニングとして有効であることを確認した。③MPCを用いたGSVにおいて、参加者がどのような心理的体験をしたのかを点検するための「コラージュ療法体験・セルフチェックリスト」を作成し、臨床経験5年以内の心理援助職を対象に、MPCによるコラージュ制作体験とふりかえりによる個人スーパービジョンを実施した後、セルフチェックリストを実施し研修効果を質的に分析した。④MPCを用いたGSVの効果的な側面と、参加者への負担や実施上の難点についての評価を元に、新たに「簡易版MPC」の制作を中核としたコラージュ療法トレーニングプログラムを開発し、大学院生および臨床経験5年程度までの心理援助職を対象に、3-4名の小グループ単位で実施し、研修効果を検討した。 MPCの解釈のための実証的研究、およびMPC制作時の心理過程の質的研究およびセルフチェックの作成を行なった研究は過去に例がなく、さらにより簡便な研修法の開発するという成果を挙げることができた。
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