研究課題/領域番号 |
18K03098
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福盛 英明 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (40304844)
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研究分担者 |
内野 悌司 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (00294603)
山中 淑江 立教大学, 現代心理学部, カウンセラー (10267388)
松下 智子 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (40618071)
高野 明 東京大学, 相談支援研究開発センター, 准教授 (50400445)
池田 忠義 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (70333763)
舩津 文香 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 講師 (80778928)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学生相談活動の自己評価 / 形成的評価 / 学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ / Web / 機関評価 / プログラム評価 / 質保証 |
研究実績の概要 |
大学における自己評価は、機関の質保証と教育内容の質保証とに分けられている(日本学術会議,2010)。我々は、学生相談の機関の自己評価を行う「学生相談機関充実イメージ表」と学生相談プログラムをアセスメントするツール「学生相談プログラム充実イメージ表」を作成、「機関」と「プログラム」の両方から学生相談活動をアセスメントできるように統合した「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」を開発してきた。 本研究は、評価データを自動的に集約し、反映させたものを即時にWeb上でフィードバックし、自機関のデータと比較するシステムを開発することが研究目的である。 2019年度は従来の「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」をWeb上で入力し結果を簡単に可視化できるように仕様を変更し、その成果を福盛ら(2020)にまとめた。 2020年度は、新型コロナ感染症の影響を受けて、全国の学生相談活動そのものが大きな影響を受けた。新型コロナ感染症拡大下での活動の自己評価は、従来の学生相談活動と一貫性をもって評価することが困難になることが想定された。そこで、自己評価を行う年度を指定する仕様にはなっていなかったシステムを、複数年度にわたって自己評価をすることができるシステムに変更するため大規模改修を行った。また、自己評価の手引についても、用語の定義な状態像の記述があいまいなところがあったので、全面的に改訂を行った。2020年度末にはWeb入力ができるプラットフォーム(ランディングページや管理ページ)なども完成した。 本研究に関するこれまで蓄積された知見と進捗について、日本学生相談機関代表者協議会(2021年2月27日開催)において「IT技術を活用した大学における学生相談活動の新しい自己評価アセスメント法の開発」というタイトルで研究成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度に調査を実施予定であったが、新型コロナ感染症拡大の影響で分担研究者との共同作業が思うように充分にできなかったため、Web入力版「学生相談活動充実アセスメントパッケージ」と「評価の手引」の確定と改良に時間がかかってしまった。 また、そもそも「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」は、単年度分の学生相談活動を自己評価するシステムとして作られていたため、Web入力版「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」も単年度の学生相談活動を自己評価するシステムで開発していた。しかし、新型コロナ感染症の影響を受けて、全国の学生相談活動そのものが大きな影響を受け、評価対象である活動そのものが大きく変化した。その中で調査協力校が自校の学生相談活動を自己評価を行った場合、そもそも閉室せざるを得なくなっていたり、学生相談プログラムなどは対面でのワークショップなどが全く実施できなくなり大きな制約を受けるなど、従来の学生相談活動と一貫性をもって評価することが困難な事態が生じうると考えられた。そこで、複数年度にわたって自己評価をすることができるシステムに変更・改修する必要があったため、データベースを複数用意する構造にするなど大規模修正をせざるを得なくなり、かなり時間を要した。 結果的に、2020年度末に仮運用できるシステムを完成することができ、Web入力ができるプラットフォーム(ランディングページや管理ページ)やWeb調査用ページなども基礎部分が完成したので、いよいよ実際に運用を開始するところである。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、仮運用できるWeb版の「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」が開発され、また、Web入力ができるプラットフォーム(ランディングページや管理ページ)なども完成したため、実際に運用を開始する。 運用を行うに際し、まず10校程度にWeb版の「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」を用いて各校の学生相談活動の自己評価を行ってもらう。その後、Webアンケートシステムを用い、1)システムの使用のしやすさ、2)簡便性、3)改良点等について評定してもらう。なお、システム評価には、1986年にBrookeにより開発され、欧米で広く使われているSUS( System Usability Score ) というユーザビリティ評価のための満足度尺度の日本語版(山内,2016)を用いる(すでに使用許諾を得ている)。 これらの結果を元に、Web版の「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」を改良する。40校程度に協力を依頼し、改良したWeb版の「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」により学生相談機関の自己評価行ってもらい、システムについてユーザビリティ評価をしてもらう。入力結果を元に、大学規模や機関設置状況による分布などの基礎的分析を行い、成果としてまとめる。 なお、2020年に「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」を形成的評価に用いるために評価の手引を全面的に改訂したが、この改訂にあたって得られた知見については、日本学生相談学会第39回大会(2021年5月15日~17日・筑波大学)において研究発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Web版「学生相談活動充実アセスメントパッケージ」を開発するにあたり、2020年度に研究分担者・研究協力者との打ち合わせと共同作業を行う予定であったが、オンラインではなかなかうまく作業が進まずに手間取った。また新型コロナ感染症拡大などによって本研究の対象である学生相談機関の学生相談活動に大きな影響を与えたなど、複数の要因によって進捗が遅れてしまった。 本来は研究成果発表を年度末にある学会で行う予定であったが、研究期間を延長して研究を続行することになり、当初予定の1年後2021年度末に成果発表を行う予定である。次年度使用額については、今のところ、次年度の研究打ち合わせと研究発表時の旅費として準備しているが、2021年4月時点をもってしても新型コロナ感染症の影響は一段と不透明な様相を呈している。もし旅費として使用できないことになれば、その多くは、Web版「学生相談活動充実アセスメントパッケージ」のシステム改修にかかる費用とそれに伴う人件費、機材費に当てる予定である。
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