研究課題
R3年度の目標は、改善を重ねて完成した、HIV-associated Neurocognitive Disorders (HAND)スクリーニング検査を健常者に実施してもらい標準値を構築することと、同検査をHIV感染者にも実施してもらい、HANDを鑑別できるのかについて評価をすることであった。もう1つの目標は、HIV感染者が起こすエラーの中で、行動指標を発見し評価することであった。新型コロナの感染拡大により、被験者に検査室あるいは病院の外来に来て頂くことが困難となり、一時中断せざるを得ないこともあったが、感染予防対策を講じてデータ収集を行った。健常者からのデータで標準値を作成し、HIV感染者の検査結果を比較したところ、先行研究と同じように、4つの認知領域(言語記憶、遂行機能、注意力、運動機能)において有意なグループ差が見られ、今回作成したスクリーニング検査が、HANDを鑑別するための感度の高いテストであることが示唆された。また行動指標という点で、Post Error Slowing (PES)とMicro Slipという現象に着目したところ、Micro slipの評価で有意なグループ差が見られ、HIV感染者の注意力の低下がMicro slipという現象を通して、エラーとして表出されることが示唆された。これらの結果をもとに、認知機能の低下がどのような形でエラーとなって表出されるのか、さらに動作指標の解析を行なっていく予定である。
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HCI International 2021 - Late Breaking Papers: Multimodality, Extended Reality, and Artificial Intelligence
巻: - ページ: 209~218
10.1007/978-3-030-90963-5_17