研究課題/領域番号 |
18K03102
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
川乗 賀也 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (20725113)
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研究分担者 |
菅野 道生 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (00582008)
堀内 聡 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (20725999)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ため込み症 / 片付け / ゴミ / CIR / 生活支障 |
研究実績の概要 |
今年度の研究では65歳以上の高齢者を対象として、①ごみを出せないことがある世帯の割合とその理由を明らかにする。②ごみを出せているが大変さを感じている世帯の割合とその理由を明らかにする。③ゴミ出し支援があれば利用したいと考えている世帯の割合を明らかにする。以上の3点を調査した。 結果は、199世帯のうち高齢者の独居世帯が45世帯、高齢夫婦世帯が64世帯、子供と同居している世帯が57世帯、3世代世帯が17世帯、その他が16世帯であった。家屋の状況は持ち家が172世帯であった。ごみを出せないことがある、と回答したのは21世帯で、その理由は「曜日がわからない」が1件、「分別がわからない」が2件、「回収時間に間に合わない」が5件、「身体的な事情で運搬ができない」が7件、その他として「大きなごみは出せない」は3件、「天気が悪いときは出せない」が3件、「牛乳パックを処理できない」は1件であった。ごみを出しているが大変さを感じていると回答した世帯は25件で大変さを感じる理由は「出す曜日が決まっていて大変」が2件、「分別が大変」が7件、「回収時間に出すのが大変」が1件、「身体的な事情で出すのが大変」が7件、「おっくうに感じる」が1件、その他として「冬場」が2件、近所に気を遣う」、「集積所が遠い」、ごみ当番の人が大変」がそれぞれ1件であった。 ゴミ出し支援制度があれば利用としたいと考えている世帯は40世帯であった。ごみを出せないことがる21世帯のうち、制度を利用したいと考えている世帯は7世帯。ごみを出せているが大変さを感じている世帯のうち支援制度を利用したいと考えている世帯は9世帯であった。 本結果は、岩手県のA市の2400世帯中199世帯より協力を得たもので、4世帯に1件の割合で、ゴミ出しをできないか、困難を感じている世帯が存在あすることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究協力機関がある都道府県が新型コロナウイルス感染症の影響を受けている地域であることもあり、研究協力機関が支援する当事者からデータを収集することが非常に難しくなっている。当事者の多くは障害者や高齢者である。彼らの感染リスクを勘案すると、支援活動が自粛または縮小されているのが現状である。つまり、居宅の清掃自体を延期するか、現場に入るスタッフ数を少なくした状態で実施されている。そのため、そもそも研究協力機関スタッフが研究ではなく純粋な支援をするためであっても、支援を要する当事者と面会できない状況がある。たとえ研究協力機関スタッフは支援現場には入れたとしても、研究者が現場に入れず、データが収集できないというケースも多い。本研究課題は、居住空間という繊細な情報を扱う課題であるため、研究協力者に研究者が対面で丁寧な説明を行うこととしていた。しかし、支援活動自体が規模を縮小して行われている中、部外者が現場に赴くことは難しい。また、当事者に面会するためには、研究者が長距離の移動をする必要があるケースが多く、感染リスクの観点から断面するケースが多い。また、支援を受けない地域住民に関しても同様である。新型コロナウイルス感染症への感染リスクを考慮し、住民との接触を行うことが難しい。以上のことから、研究課題の推敲が遅れているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
従来の研究計画では、研究1の一環として、支援(住居の片づけ)の前後でClutter Image rating(CIR)日本語版の点数が低下するか否かを検討するために、支援を受けた当事者またはその家族15名に調査協力を得る予定としていた。コロナウイルス感染症の影響を受け、当事者またはその家族からデータを得ることが難しくなっているため、以下のような代替策を講じることとする。まずCIR日本語版に回答する人を当事者またはその家族から研究協力機関スタッフに変更する。また、実際の支援の前後でデータを取るのではなく、過去に支援が行われたケースについて写真を見ながらデータを取ってもらうこととする。つまり、住居の片づけが実際に行われる前後の部屋の状態を見ながら評定するのではなく、すでに支援が終了したケースについて、住居を片付ける前後の写真を見ながら評定するのである。このデータ収集形式であれば、現在の状況でも実行可能である見込みである。改めて倫理委員会の承認、関係機関から研究協力機関としての承諾を得た上で研究を進める。 次に、研究2では、住居を片付ける支援を受ける当事者と同地域に居住する住民の合計50名を対象として、CIR日本語版の得点が4点以上の人とそうでない人の間で生活支障度を比較する予定であった。昨今の新型コロナウイルス感染症の動向を踏まえて、代替案としてweb調査を行うこととする。サンプルの中にCIR日本語版の得点が4点以上の参加者が一定数含まれるようにweb調査を設計する。測定する指標は計画通りである。Web調査で得られたデータをもとにCIR日本語版の得点が4点以上の人とそうでない人の間で生活支障度を比較する。この検討を通して、CIR日本語版の得点と生活支障度の関連を検討するという従来の目的を達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
20年度はCOVID19の影響が多大となり、調査が十分にできなかったため、研究期間の延長を申請した。 21年度は同様に感染症の影響はあると思われるが、オンライン調査を1部導入するなど方法を工夫して研究を継続し、それらにかかる費用をついて執行していく。
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