研究課題/領域番号 |
18K03106
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
田中 勝則 北海学園大学, 経営学部, 講師 (10510969)
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研究分担者 |
斉藤 まなぶ 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (40568846)
中村 和彦 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80263911)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経発達症 / スクリーニング / web版 / ASSQ / SDQ / ADHD-RS / DSDQ / PSI-C |
研究実績の概要 |
神経発達症の早期発見のためのスクリーニングツールの充実は喫緊の課題である。多くのスクリーニングツールは紙筆版であり、その配布や回収、入力作業が早期発見のための取り組みを困難なものとしていた。そこで、研究初年度は我々がこれまでコミュニティベースドの小児発達健診で用いてきた1次スクリーニングツールweb版のトライアル開発を行った。5歳児の保護者508名が紙筆版のスクリーニング用質問紙パッケージ(デモグラフィック指標、ASSQ、SDQ、ADHD-RS、DCDQ、PSI-C)に回答した。この中から300名を無作為抽出し、web版への回答依頼を行った。最終的に140名からweb版スクリーニングパッケージへの回答が得られた。web版への調査協力が得られた方々には、謝礼として図書券を配布した。 分析では試筆版とweb版での等価性の検証を行った。その結果、web版のいずれのスクリーニング指標の合計得点および下位尺度得点においても試筆版と同様の十分な内的整合性が確認された。また、各スクリーニング指標の合計得点および下位尺度得点も紙筆版とweb版との間で差異のないことが確認された。更に、評定者内信頼性についても検討した結果、十分な値が得られた。 以上の結果より、スクリーニング指標に関しては紙筆版とweb版で心理測定学的に等価であることが示された。一方、デモグラフィック指標に関しては回答範囲の設定面で課題が発見されたことから、入力数値の範囲の調整を行い、今後の社会実装に向けた準備を進めている。加えて、これまでの研究成果をベースに、スクリーニングのアルゴリズムについて特許申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りweb版の開発およびその妥当性の検証が進んでいるため。トライアル版におけるスクリーニングツールの心理測定学的妥当性が検証されたことから、次年度は調整を行なったweb版を用い、コミュニティベースドでの社会実装を進めていく方向で健診実施自治体との間で調整が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後得られるデータも追加しながら高度な解析を進め、各スクリーニングツールの紙筆版とweb版との間での等価性を更に検証していく。また、別年齢で実施している健診事業において用いている神経発達症のスクリーニングツールに関しても、web版の作成に向けて項目の精選を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
web調査のためのシステム構築やそのための打合せ旅費用に予算を計上していたが、当初見込みよりもシステム構築のコストを抑えることができたことやwebミーティングを行うことで旅費支出を抑えることが可能となった。次年度以降は成果発表や新たに調査を行う際の謝金等に活用する。
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