研究課題
神経発達症の早期発見のためのスクリーニングツールの充実は喫緊の課題である。多くのスクリーニングツールは紙筆版であり、その配布や回収、入力作業が早期発見のための取り組みを困難なものとしていた。研究2年目にあたる今年度は前年度の実績を踏まえ、信頼性と妥当性の検証されたweb版の神経発達症スクリーニングツールの社会実装に向けた活動を展開した。2つの自治体において合計3回のwebによるスクリーニングが実施された。そのうち、これまで紙筆版のみでのスクリーニングを行っていた自治体においては紙筆版のみの実施時よりもweb版を用いた調査実施時における回収率の向上が確認された。更に紙筆版とweb版の併用により行われたスクリーニング調査において、約9割の保護者がweb版での回答を行っていた。加えて、当初の紙筆版スクリーニングにおける課題であった質問紙の配布や回収、入力作業の短縮も可能となった。これらのことから、我々の作成したweb版でのスクリーニングツールが社会実装にも耐えうるものであることが示されたと考えられる。なお、これらの作業と並行してweb版でのスクリーニングツールの利用方法やフィードバックシートの読み方等のマニュアル作成も現在進行中である。これらの活動成果は産学連携活動の一環として、テクニカルショウヨコハマ2020での発表を行った。また、前年度に検証された信頼性や妥当性に関する分析結果は学会で報告を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、一連の研究過程が進行していると判断できるため。
今後も引き続きwebスクリーニング実施自治体との連携を図りながら、更なるユーザビリティの向上や改善、社会実装の拡大に努めていく。また、学術的な成果については論文投稿を推し進める。なお、新型コロナウイルスの影響のため研究実施に影響が見られる場合には関係自治体との協議のもとに柔軟に対応を図ることとする。
研究計画初年度に当初の予想よりもシステム構築のコストを抑えることができたことやwebミーティングを行うことで旅費支出を抑えることが可能となったことを通じて当初見込みよりもこれらに対する支出を抑えることにつながっている。今後は論文投稿に向けた英文校閲や投稿料にこれらを充当する見込みである。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)
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