研究実績の概要 |
本研究課題では高校をフィールドとした学校ベースの機能的文脈を活かした心の支援に関する研究を行ってきており、2020年度はいくつかの論文掲載に至った成果物があった。いずれもコロナの影響があり本来行うべきであった介入研究が停滞した代わりに、本研究課題の基礎をより盤石にする研究成果であったといえる。 1つは「震災後の学校再開時における高等支援学校生のストレス反応-発災後1週間から4週間までの推移-」(新川広樹, 粥川智恵, 清水理奈, 富家直明,ストレスマネジメント研究. 2020年,16.2,12-19)であり、特別支援学校におけるストレス調査研究の報告である。胆振東部地震発災後から継続してフォローしている特別支援学校生徒のストレス反応が改善している結果を報告した(本論文は優秀論文賞山中寛賞を受賞した)。 また、「学級単位の集団ソーシャルスキル・トレーニングにおける般化促進方略-応用行動分析学の枠組みに基づく展望-」(新川広樹, 二瓶正登, 金山裕望, 冨家直明, カウンセリング研究. 2021年,52.2,72-86)は学級ベーストで実施されるSSTの効果が般化しにくい課題に焦点をあてて促進方略の理論と技法を文献研究によって見直した。 加えて、「児童生徒の学年・学校段階に応じたソーシャルスキル尺度の標準化―COSMINに基づく信頼性・妥当性の検証―」(新川広樹,富家直明,カウンセリング研究, 2021,52.2,57-71)は小学校低学年~高校生までのコミュニケーションスキルに関する発達的変化を測定する尺度の標準化に関するデータの提供であり、本課題研究において使用する重要な測度の信頼と妥当性が検証された。 その他、本研究課題に参加している主要な協力校の1校において、高大連携型のストレスマネジメント教育が実施され、その実践の中間成果を取りまとめることができた。それらは2021年度の国内学会において研究報告される予定である。
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