研究課題/領域番号 |
18K03108
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研究機関 | 北海道千歳リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
小山 充道 北海道千歳リハビリテーション大学, 健康科学部, 教授 (20170409)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自分描画法 / 思いの理論 / 思いの心理療法 |
研究実績の概要 |
今回の研究テーマは「自分描画法(Self-Portrait Method;SPM;小山[2016])のマニュアル作成」であり,SPMに関する全体としての把握が求められる。 初年度は,3件の研究を実施した。まず過去収集したSPMに関する全資料を整理し,SPMは心理アセスメントまたは心理療法の道具としてどのような使い方が可能か,またその効果について,多様な視点から見直す作業に入った。この結果については,2年目も引き続き継続検討を行う予定である。 2件目は「SPMの利用法に関する研究」として,公募で選ばれた北海道千歳リハビリテーション大学の学生24名(研究協力者)を対象とした臨床心理アセスメント事例研究である。24名は検者である筆者の講義を受けており,互いに熟知している間柄である。今回はSPMに関する情報をより多く集めより深く読み解くために,意図的にこのようなセッティングを整えた。全員が筆者の経験により選定された次の5つのアセスメントを体験した。それは,自家製の「思いに関するアンケート」「UPI健康調査票」「主要5因子性格検査(Big Five)」,人格全体像を把捉するための「バウムテスト」,自分自身の今の思いを理解するための「SPM」,SPMに対比するものとしての「箱庭制作」であった。研究協力者の侵襲度を考慮して,'Big Five'→'バウムテスト'→'SPM'→'箱庭制作'の順に実施した。この結果については,次年度開催(2019年6月6-9日)の心理臨床学会で発表する予定である。 3件目は,過去のケースを対象とした事例研究論文の作成である。これについては「痺れを訴える脳血管障害を伴う成人患者における思いの変化-自分描画法を患者理解の手がかりとして」というタイトルで論文化を終え,「北海道千歳リハビリテーション科学」に掲載,公表される予定である(2019年6月WEBにて公表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度取り組んだ2つの研究テーマのうち,1件目の自分描画法に関する過去収集した全資料の整理および分析については,完結するにはまだ時間を要し,引き続き研究2年目に継続されることがあげられる。 2件目の研究協力者である大学生24名を対象とした臨床心理アセスメント事例研究についてはすでに結果が得られ,次年度心理臨床学会で報告する予定となっている。 マニュアルを作成するにはまだ少々時間がかかることなどを考慮し,研究は「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
3つあげられる。 1件目は「自分描画法に関する事例研究」である。すでに面接を終えた事例で,かつ倫理的配慮を整えたケースを対象として論文化を行う。論文「痺れを訴える脳血管障害を伴う成人患者における思いの変化-自分描画法を患者理解の手がかりとして」はすでに「北海道千歳リハビリテーション科学」にて,2019年6月にWEB公表される予定であるが,現在これに引き続き,日本心理臨床学会で報告した高齢者事例について,論文化を進めているところである。本事例については「心理臨床学研究」への投稿を予定している。 2件目は自分描画法のマニュアル作成を行うために,全資料を再検討し全資料に共通している内容を抽出する作業に取り組む。 3件目は一般成人および高齢者合わせて30名の自分描画資料を収集する。対象者には自分描画法のほかに質問紙法心理テスト(WHOQOL26)とバウムテストおよび箱庭制作を依頼する予定である。かなり大変な作業となると推測されるが,対象者の協力を得て,慎重に研究を進める予定である。
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