研究課題/領域番号 |
18K03108
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研究機関 | 北海道千歳リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
小山 充道 北海道千歳リハビリテーション大学, 健康科学部, 教授 (20170409)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自分描画法 / 思いの理論 / 思いの心理療法 |
研究実績の概要 |
今回の研究テーマは「自分描画法(Self-Portrait Method;SPM;小山(2016)マニュアルの作成」である。2年目の2019年度は,北海道千歳リハビリテーション大学が主催する健康増進教室に参加する高齢者30名(内訳:男性14名[62~82歳 平均70.7歳],女性16名[62~80歳 平均72.3歳]を対象とした。手順の流れは次のとおり。「直接SPM研究協力者募集(チラシ手渡し)→事前面談実施日時の打ち合わせを行い,かつホームワーク内容(落書きと思いに関するアンケート)を伝える。落書き用に用紙とクレヨン・色鉛筆を手渡す(事後に贈呈)→自宅での作業内容として「落書き」と「思いに関するアンケート」に取り組む→研究室での作業に入る。研究承諾書への記入後,以下の6つの作業に取り組む。途中で休憩を入れた。「主要5因子性格検査システム(BigFive)」は直接パソコン打ち込みにて自動診断を行う→「WHO-QOL26」への記入,「バウムテスト」の実施→〈休憩〉→「箱庭制作(録画)」→「SPM(録画)」(注:「箱庭制作(録画)」を実施後,「SPM(録画)」を行ったが,録画については許可を得て行った)→「空間象徴図(落ち着く場所・落ち着かない場所)」の順に実施し,その後,勤務表への記入と謝金支払いを行った。研究計画どおり,約1カ月半でデータ収集が終了した。その結果,「落書き」は思いを構成する4要素(始点→ふれる→つかむ→収める)で説明ができること,自分描画法は落書きの延長線上にあることを確認した。本結果については2020年度開催の日本心理臨床学会で報告する。なお自分描画法の録画資料は,次年度に発刊予定の「自分描画法マニュアル(仮題)」にCD-ROMとして添付する予定である。このほかに「自分描画法の枠組み」と「思いの理論の枠組み」について論文化を進めている所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度も取り組んだ自分描画法に関する過去収集した全資料の整理および分析は,その後の資料を加えて整理し直しているところである。最終的には2021年度(最終年度)に予定している「自分描画法マニュアル(仮題)」(遠見書房より発刊予定)に収束させる予定である。本年度は健康増進教室に参加されている高齢者30名について,事例研究的に資料を収集した。本資料の分析はすでに終了し,2021年度に日本心理臨床学会で報告予定である。すべてが予定以上の進展とまではいかないが,他に脳血管障害者への自分描画法の適用事例論文の作成や著書の執筆などもあり,全体をみて「概ね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
周知のとおり自分描画法は落書きを背景としている。それゆえ子どもから高齢者まで取り組みは可能と考えられる。多数の方々の協力を得て,その根拠資料を明らかにしてきた。本研究最終年度にあたる2021年度は,科学研究費による自分描画法研究として14年目にあたる。自分描画法研究としては,これが最終のもの(まとめ)となる。2021年度は,著書では予定通り「自分描画法マニュアル(仮題)」を発刊予定であり,これについてはすでに原稿を書き始めている。また自分描画法と思いの理論については,個々に学術雑誌への投稿を進める予定で執筆に取り組んでいるところである。このように,同時並行に複数の研究を行っているのが実情である。あと1年となったが,最後まで全力を尽くしたい。
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