2020年度は、「自分描画法(SPM)マニュアル作成-評価基準の策定」という研究課題への取り組みの最終年にあたる。コロナ禍の影響により面談による個人資料の収集は困難となり、筆者は事例の追加収集を断念した。そもそも追加収集の目的は自分描画法に疑問点があれば解明し、自分描画法をより形あるものに整える点にあったが、現在のところ特段の疑問点は見つかっていないことから、本研究の遂行にあたっての影響はないと判断した。 2020年度の主な作業は、自分描画法の紹介を目的としたDVDの作成にあった。筆者は2018年および2019年に自分描画法を実施した成人54名に資料提供を依頼した。DVD作成にあたっては、個人情報保護の観点から映像は描画部分のみで、音声は無音声かつ字幕付きとし、個人が特定できないように周到な配慮を行った。DVD作成作業およびナレーションは、研究計画どおり専門業者に依頼した。その結果、「自分描画法マニュアル」というタイトルのDVDが完成した。所要時間は43分である。 2020年は2つの学会で研究発表を行った。日本心理学会第84回大会では、「健康増進教室に通う高齢者の心理学的分析」(開催期間;9月8日~11月2日;WEB開催)、さらに日本心理臨床学会第39回大会では、「自分描画法(SPM)による高齢者の生きがいに関する分析」(開催;11月20日~11月26日;WEB開催)というテーマで発表した。 以上の作業のほかに、2020年は著書「自分描画法マニュアル」の執筆作業を行った。現在著書の執筆作業は終わり、編集および校正作業が進んでいるところである。本書は2021年に遠見書房より発行予定となっている。
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