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2019 年度 実施状況報告書

攻撃性の過剰な抑止が意欲を減退させるメカニズムの解明とその介入技法への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K03109
研究機関尚絅学院大学

研究代表者

川端 壮康  尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (90565128)

研究分担者 室城 隆之  江戸川大学, 社会学部, 教授 (00763012)
大渕 憲一  東北大学, 文学研究科, 名誉教授 (70116151)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード引きこもり親和傾向 / 攻撃性 / 感情調節 / イメージ
研究実績の概要

2018年度に高校生を対象に実施した、「引きこもり親和傾向尺度」と、身体的攻撃性、言語的攻撃性、短気、敵意からなる「攻撃性尺度」、再評価、抑制という下位尺度からなる「感情調節尺度」、「殴る」「相手を押す」などの攻撃行動に対する、良い悪い、有用であるかないか、怒られるか怒られないかという3つの尺度からなる「攻撃行動に対するイメージに関する質問項目」によって構成された質問紙調査を、本年度は大学生187名を対象に実施した。その結果、大学生においては、攻撃性に関する変数のうち敵意と、攻撃行動に対するイメージのうち攻撃性が有用であるというイメージを持っていることが引きこもり親和傾向を抑制することが明らかとなった。
これらの結果は、第一に、周囲に対して敵意を抱きやすい傾向や、他者に攻撃行動を行うことが有用なことであると感じていることが、家や自室に閉じこもりたいという気持ちを抑制することを示しており、攻撃性の過剰な抑制が、問題場面を打開していく意欲を失わせてしまい、引きこもりを引き起こすことになるという仮説を支持するものといえる。第二に、先に実施した高校生においては、攻撃性のうち敵意と、感情調節の抑制が引きこもり親和傾向を抑制することが明らかとなっており、本年度の研究と比較すると、発達により引きこもり親和傾向に及ぼす要因が変化することを示している。すなわち、高校生においては感情を抑制する傾向が引きこもり親和傾向を抑制していたのに、大学生においては、攻撃行動が有用であると感じる傾向が引きこもり親和傾向を抑制するのであるから、加齢によって、自己の周囲への働きかけが効果を持つかどうかといった認知が引きこもりに影響を及ぼすようになることが示唆されている。
今後は、募集に応じた研究協力者を対象に、攻撃性を適切な形で表出できるための実験的な心理教育的グループを実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は、調査の対象者として大学生のみを予定していたところ、年齢による影響も検討するため、高校生にも調査対象を広げたために、質問紙調査の実施に手間がかかったため、予定よりも進捗が遅れている。また、コロナウィルスによって、大学への学生の入構が制限されていることも、新たな調査を実施することを困難にしている。

今後の研究の推進方策

研究最終年度においては、当初予定していた、適応的な攻撃行動を身に付けるための心理教育的介入技法を工夫・開発し、募集に応じた研究協力者を対象にした心理教育グループにおいてその効果を検証することを目指す。ただし、コロナウィルスの感染拡大防止が求められる状況下、心理教育グループを実施することができないことも予想されるため、その場合は、当初計画で2年目に実施するはずだった調査を、現状で実施可能な形で行うものとする。
すなわち、日常生活場面での攻撃性の処理に関する質問紙調査を実施し、これを、引きこもり親和性が高い学生と低い学生とで比較・検討する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ・ウィルスにより、不要不急の出張等を自粛するよう指示が出たため、予定していた出張打合わせ、及びデータ分析の検討のためのミーティング等を行うことができなかったため。
研究最終年次に、状況が落ち着いたならば、控えていた出張打合わせ等を行う。

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公開日: 2021-01-27  

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