研究課題/領域番号 |
18K03112
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
吉川 眞理 学習院大学, 文学部, 教授 (50242615)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 実践知 / テクニカルスキル / ヒューマンスキル / 概念化スキル / 転移/逆転移 / スーパービジョン |
研究実績の概要 |
当該年度では昨年度に引き続き、実践知獲得過程について、英語圏および独語圏における心理専門職養成機関のカリキュラムや経験について、指導者や修了者より積極的に情報収集を行った。2019年8月に参加した国際分析心理学学会において、心理臨床実践におけるコンピーテンス研究グループと交流が始まり、コンピーテンス研究の成果の刊行プロジェクトに参加するように招聘を受けた。この交流機会を活用して、実践知獲得過程の国際比較を行う準備を進めている。 前年度に着目した、初心者に起こりがちな転移/逆転移体験をクライエント理解に還元できるように取り扱う、スーパービジョンについても、さらに情報収集を続けてきた。これらの知見をふまえて心理専門職実践知の獲得過程を調査する質問紙の作成に取り組んできた。 また第三の展開として、心理専門職の養成課程において修了要件となる研究論文、さらに取り組みが奨励されている事例論文指導に着目した。企画当初は研究対象外として考えていた概念化スキルの獲得が、この論文指導において実現されていることを認識することができた。そこで、実習における体験を基盤にして独自の問題意識をたちあげ考察を積み上げていく教育カリキュラムを、実践知を支えるスキルの中での概念化スキルの獲得過程として位置付けて質問紙に反映させる方向転換が図られた。 以上の知見を集積して心理専門職の実践知獲得過程を明らかにする質問紙として、心理専門職カリキュラムに関する実践知獲得有効性尺度が作成された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度3月に行う予定であった研究集会で、国内の臨床心理士取得者対象の質問紙調査依頼を行う予定であったが、コロナ感染拡大抑止のため中止となった影響を受けて、質問紙調査をオンラインで行うことになり、調査の進行に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度までの調査、情報収集による知見をふまえて作成された心理専門職の実践知獲得過程を明らかにする質問紙として、心理専門職カリキュラムに関する実践知獲得有効性尺度が作成され、この質問紙調査の結果は、2020年のアメリカ心理学会のポスターセッションにエントリーされている。
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次年度使用額が生じた理由 |
戻し入れ額は、当該年度に予定していた質問紙依頼が実施できなかったため、人件費、謝金が発生していないことによる。 次年度の使用額の主要な用途として、合衆国ワシントンで開催されるアメリカ心理学会で年次大会のポスター発表をエントリーしていたが、こちらがコロナ感染の影響でオンラインで開催されることになったため、旅費は不要となる。そこで本研究をさらに発展させ、2021年度のアメリカ心理学会年次大会での発表を計画し、補助事業の一年延期について考慮中である。
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