研究課題
「心理専門職実践知志向性尺度」の前提として実践知獲得過程の研究をレビューしながら、多様な文化圏における心理専門職養成機関のカリキュラムについて情報収集を行った。その結果、転移・逆転移体験をクライエントに還元できるように取り扱う支援としてスーパービジョンが有効であることが確認された。さらに大学院課程における心理専門職の養成課程では、修士論文の執筆が概念化スキルの獲得に結び付くことが明らかになった。2019年に参加した国際分析心理学の21回大会において、心理臨床実践におけるコア・コンピーテンス研究グループに参加し、同研究プロジェクトに従事することになった。また、スーパービジョンや訓練分析等、訓練方法に関する情報収集の成果について、日本心理臨床学会第38回大会のシンポジウムにおいて発表し、第39回、40回大会において「事例検討を再検討する」シンポジウムを企画し、グループ・スーパービジョンの過程について考察を深めてきた。第41回大会では「心理臨床の初学者から学ぶ」シンポジウムを企画し、多様な現場の訓練指導者の話題提供を得て、熟練者が初学者を訓練する過程に生じる相互作用の認識がヒューマンスキルの獲得支援につながる可能性が示唆され、その記録は同学会誌『心理臨床学研究』に掲載された。また当初の最終年度に研究成果発表を予定していたアメリカ心理学会がコロナ感染拡大のため参加困難となったため、研究期間を延長し、国際分析心理学学会の22回大会において、心理臨床実践におけるコア・コンピーテンス研究グループの活動を報告する分科会で研究成果を発表した。また、英国のアンナフロイトセンターでメの見学を行った。以上のとおり、心理専門職訓練カリキュラムにおける実践知の獲得過程を明らかにする尺度を作成し、多文化圏の心理専門職の訓練に携わる指導者とその訓練生に施行する取り組みを継続してきた。
日本心理臨床学会 第41回大会 シンポジウム記録吉川眞理・窪田由紀・沢宮容子・山田美穂・山本力・木下直紀・岡本祐子・髙橋靖枝, 心理臨床の初学者に学ぶ―教育・研修における相互作用―, 心理臨床学研究, 40巻, 2023年, p.546-558
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