最終年度の取り組みとして、 1.これまでの研究成果の発表・公刊:児童思春期の愛着形成・修復に貢献する心理・社会的アプローチとして、①メンタライジングに基づく心理療法(個人・集団)の実践報告とその方法論の検討を学会・研究会で行うことができた、②メンタライジングに関わる尺度作成とアセスメント法の課題についての概観を、シンポジウムにおいて共有することができた、③従来の心理療法の枠組みだけでなく、治療機関全体のメンタライジング的風土醸成の効果について、実践レベルの報告をシンポジウムですることができた。④研究協力者たちとの協働により、MBT-A(メンタライゼーションに基づく青年治療)のテキストの翻訳を完了し、公刊することができた。なお、このような事業と関連して、日本心理臨床学会国際交流委員会主催企画として、Anna Freud Centreの講師によるオンラインセミナーの運営を務めた。 2.コロナ禍による軌道修正と期間延長における成果:①研究協力者を中心にMBT-C(メンタライゼーションに基づく児童治療)を実践し、Anna Freud Centreの有資格者による指導を受けられた。②研究協力者を中心に、機関内での個人療法的視点・方法を学校場面での教師との協働を踏まえたスクールカウンセリング実践への適用へと発展させ、その視点を整理して発表、公刊することができた。 3.本課題取り組み期間中、児童相談所での里親・里子の集団療法の実践、児童養護施設における集団療法の実践を開始し、どちらも学会で発表することができ、前者についてはシンポジウムにおいて共有し、課題を展望することができた。 全体の成果として、児童・思春期の愛着の修復のための当事者、保護者らへの心理療法・心理教育手法を複数開発し、公刊した。メンタライジング査定の尺度を複数開発した。メンタライジング研究・研修の国内外のネットワークを強化した。
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