研究課題/領域番号 |
18K03114
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
田中 奈緒子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50277935)
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研究分担者 |
木村 あやの 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (00527575)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 主題統覚検査(TAT) / 視線運動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(ASD:autism spectrum disorder)の成人を対象に主題統覚検査(以下、TAT)実施時における視線運動を計測し、産出された物語と視線情報を用いてTATの物語産出時の認知・思考プロセスを検討し、ASDの対人社会性の特徴を解明することである。2018年度の研究実施状況は以下のとおりである。 1.「TAT物語産出時の視線運動から見たアスペルガー症候群の特徴」として、すでに取得済みのデータについて再分析、論文化を行った。その結果、TAT実施時における視線情報と産出された物語について検討することは、アスペルガー症候群の認知特性をアセスメントする方法の一つとして非常に有効であることが確認された。また、アスペルガー症候群の視線運動として、刺激の主要領域への停留、あるいは細かな部分への注視等の特徴が指摘できた。本論文は、日本ロールシャッハ学会学会誌「日本ロールシャッハ法研究 23巻」(2019年発行)に掲載予定である。 2.TAT物語産出時の視線運動を測定する視線追跡装置に関し、新しい機器を導入し、実験器具等の調整を進めた。実験協力者には、自身の自閉症傾向への自己評価として「AQ日本語版・成人用」を、また、対人態度を測定するため文章完成法を実施してもらうこととして、購入等の準備を進めた。また研究計画に関しては、所属大学の倫理審査委員会において審査、承認された。今後は、定型発達群である成人大学生を対象とした実験を、次いでASDを対象とした実験を実施し、データの収集を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由)以前取得したデータに関して「TAT物語産出時の視線運動から見たアスペルガー症候群の特徴」として論文にまとめ、学会誌への掲載が決まるなど、一定の成果をあげた。しかし、より精緻な検討を目指した新しい実験器具等を用いた実験については、手続きや実験器具等の調整などのため、2019年度より新規に実験を開始し、データを取得する予定である。研究計画に関しては、所属大学倫理審査委員会の審査を経て承認された。
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今後の研究の推進方策 |
新しい実験器具等を用いた実験を開始する。本研究では、自閉スペクトラム症の対人社会性の特徴を、主題統覚検査実施における視線運動及び産出された物語から検討することを目的としているが、まずは、定型発達群を対象として、実験を実施する。そのため、成人大学生を対象に実験協力者のリクルートを行い、データを新規に取得する。
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次年度使用額が生じた理由 |
定型発達群を対象とした実験の開始が2019年度からとなった。成人大学生を対象に実験協力者のリクルートを行い、データを新規に取得する。 それに伴い、実験協力者への謝金のほか、結果の整理・解析のための消耗品費、データ整理のための謝金などの使用が見込まれる。
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