極低出生体重児(1500グラム未満)として生まれ、学齢期となった小学生と中学生に対して追跡調査を実施し、発達と学校適応状態のアセスメントと支援を行ってきた。小児科医の饗場智とNPO発達支援研究センター職員である榎本雄志(公認心理師)が研究協力者となっている。饗場は身体的発達の評価と親への助言・心理教育と支援を実施した。榎本は森岡と共に、就前前の4歳時点で空間把握が弱かったり、視知覚と手の運動の協応が悪い児にビジョントレーニングを実施し、家庭での生活の中でも療育的取り組みをしてもらった。また、小学生と中学生には学習支援を実施してきた。 対象の検査・聞き取りなどは、主として山形県立中央病院小児科外来で実施されたが、令和2年以降はコロナ禍により山形県立中央病院での実施が不可能となり、また東京から山形県にはいることも制限があったため、検査・聞き取りは実施できなくなっていた。(令和5年4月からは再開されている)そのため、調査の継続と児・生徒への学習を中心とした支援は、NPO発達支援研究センターの榎本が担当した。森岡は、月2回Zoomによる保護者の相談を実施した。 小学生200名の知的能力検査WISC-Ⅲをクラスター分析したところ、4群のタイプ「問題なく平均的」「全般的低下」「知覚統合能力低下」「処理速度低下」に類型化された。また、子どもの行動上の問題を評価するCBCL(親の評価)、TRF(教師の評価)との関連も検討した。 われわれは、極低出生体重児は、少なくとも義務教育期間のフォローアップが必要だと考えているが、改めて中学年齢での支援を必要とする対象者がいることが明らかとなった。
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