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2019 年度 実施状況報告書

非行少年や犯罪者を抱える家族についての質的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03118
研究機関早稲田大学

研究代表者

藤野 京子  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10386568)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード非行少年 / 犯罪者 / 家族 / 加害者意識 / 被害者意識 / 現実逃避願望 / 罪悪感
研究実績の概要

家族に非行や犯罪も走った者がいると、残りの家族成員は非行や犯罪に走ることを許容する犯罪加害者の一味である、十分に養育してこなかったために非行や犯罪に走っている、十分に監護していれば、非行や犯罪を抑止できたはずである、などと世間からのさまざまなそしりを免れない。また、自身も、自身の働きかけが不適切あるいは不十分であったのではないかとの自責の念に苛まれがちである。
しかし、このような家族も、見方を変えると、非行少年や犯罪者の被害者とみなせる。当人に成り代わって犯した罪の賠償を行うなどの任を負わされることになる。こうした中、それまでの日常が奪われ、孤立無援状態に陥ることも少なくない。さらに、これが端緒となり、家族力動にきしみが生じることも稀ではない。
非行や犯罪のリスクアセスメントにおいては、変わりうることを想定している動的領域の評価項目として、家族との関係性が含まれている。すなわち、家族は 犯罪リスクを低減させる重要な要因でもある。したがって、本研究はその実態を明らかにすることを目指すものである。
子どもの非行で困っている親の会に調査協力を要請し、ラポール形成及び親たちの実状把握のため、その会に1年間参加した後、インタビュー調査を依頼し、2名からの調査協力を得ることができた。また、子どもではなくパートナーなど犯罪者との関係性が違う場合の同異を検討するため、夫が犯罪者になってしまった妻1名の調査協力を得ることができた。
この3名のうち2名については録音の承諾を得られたので、文字起こしも行っている。調査協力時点に至るまでのプロセス等を中心に分析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

子どもの非行で困っている親の会に調査協力を要請し、ラポール形成及び親たちの実状把握のため、その会に1年間参加し、その後、インタビュー調査を依頼したが、協力を得られたのは結局2名にとどまった。会には自主的に参加し発言するものの、いざ調査となるとそれに応じることに抵抗感を抱かれる方が想定以上に多かった。また、非行や犯罪が始まったばかりの家族や、次々に問題が生じている状況の家族に対しては、その心的状況に鑑みインタビューを依頼すること自体がためらわれる一方、問題が小康状態になると家族会に出席しないという現実に直面してもいる。
ホームページにおいても調査募集を行ってはいるが、そこからの照会はない状態である。

今後の研究の推進方策

今回継続参加した以外の家族会に参加し、引き続き調査協力者を募っていく予定である。また、保護司等は非行少年や犯罪者の改善更生のために家族にも接触していることから、本研究の主旨を理解してもらい、適当な調査協力者を紹介してもらうことを計画している。加えて、上記家族会が発行している便りに記載されている参加者の声から内容を分析することも計画している。

次年度使用額が生じた理由

インタビューで得られた情報を文字起こしする計画であったが、調査協力者が十分に集まらなかったこと、一部録音の同意がとれなかったことで、文字起こし経費が少なかったことが挙げられる。
また、謝金支払いに関しては、銀行振り込みにした場合、非行少年や犯罪者の家族を対象とした研究への参加という記録が残るのではないかという懸念が示されたため、本研究費からの支払いを諦めた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 成人期における年齢層別ジェネラティヴィティ2020

    • 著者名/発表者名
      藤野京子
    • 雑誌名

      心理臨床学研究

      巻: 37 ページ: 582-592

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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