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2022 年度 実績報告書

非行少年や犯罪者を抱える家族についての質的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03118
研究機関早稲田大学

研究代表者

藤野 京子  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10386568)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード家族 / 非行少年 / 犯罪者 / 立ち直り支援 / ナラティブ / 社会的孤立 / 役割アイデンティティ / 被害者
研究実績の概要

再犯・再非行の防止は、犯罪を減らし安全安心な社会を築くために重要である。そのためには、犯罪に対する認識を改めさせたり社会適応力を身に付けさせたりするなど犯罪や非行を行う当事者への直接的な働きかけが重要であることは言うまでもないが、その当事者の周囲の者が当事者にどのように関わるかも肝要である。犯罪のリスクアセスメントツールにも家族関係がその項目に含まれており、犯罪者や非行少年にとって,家族に支えられることは社会復帰に当たり有用であることが示されていて、家族には更生の場を提供することが期待される。しかしその一方で、家族が犯罪者や非行少年から直接被害を受ける、あるいは、犯罪者や非行少年の家族であるということから、その家族自身が社会から誹りを受けることもあろう。このほか、家族が、非行や犯罪に走る原因あるいは遠因になっていることもある。これらについては、なんらかの調整がなされない限り、家族に社会復帰の担い手としての役割を期待することはできない。そこで、本研究では、犯罪や非行に走った家族成員をもつということが、その家族の人生においてどういう位置づけとなり、それがどのように変遷していくかというプロセスをナラティブアプローチで明らかにすることを試みた。
その結果、Drotar et al.(1975)が主張する障害受容の段階モデルと類似の現象が生じること、家族成員の犯罪や非行が収まった後も折りにふれ負の感情がよぎるとする慢性的悲哀説が主張する現象が生じうること、その家族自身がどのような役割アイデンティティを有するかによって、犯罪や非行に走った家族成員の影響力が変わること等が示された。家族のその時々の状態に即した周囲の接し方が求められよう。このほか、周囲から直接的に排他される体験をしない場合でも、自分は一般の人と異なるといった心情になり、社会的孤立に至る結果を招きやすいことも示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Apologizing for One’s Own Actions: Cognitive Coping Strategies, Social Support, and Ego-Resiliency2023

    • 著者名/発表者名
      Fujino Kyoko
    • 雑誌名

      The Japanese Journal of Educational Psychology

      巻: 71 ページ: 26~37

    • DOI

      10.5926/jjep.71.26

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 50代後半から万引きを始めた女性の事例分析2022

    • 著者名/発表者名
      藤野 京子
    • 雑誌名

      犯罪心理学研究

      巻: 59(2) ページ: 17~29

    • DOI

      10.20754/jjcp.59.2_17

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 令和4年版犯罪白書特集部分犯罪者・非行少年の生活意識と価値観2022

    • 著者名/発表者名
      藤野京子
    • 雑誌名

      罪と罰

      巻: 60(1) ページ: 21~31

  • [図書] ワークブック 窃盗離脱プログラム リ・コネクト2022

    • 著者名/発表者名
      藤野京子、鷲野薫
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      現代人文社
    • ISBN
      4877988262

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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