研究課題/領域番号 |
18K03121
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
舛田 亮太 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (30547055)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自傷 / 解離 / 心理教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1.解離性自傷を説明するための心理教育テキスト作り、2.作成したテキストを中学高校大学で実施すること、3.心理教育実践の効果検証、であった。初年度である2018年は、1について印刷費を用いて仮の心理教育テキストを作成し、2.について高校での試行実施まで達成した。 1.については、中学高校における解離性自傷に関する文献レビューを行い、日本学校心理士会2018年度大会においてポスター発表を行った。また関連するテーマとしてひきこもりと自傷行為の関係性についても先行研究を概観し、学内講座の講演録にまとめた。さらに他の学会等において資料収集を行い、関連分野の専門家、学校現場の先生方から様々なご意見を頂いた。以上を踏まえ心理教育用テキストについては、自傷だけでなく、トラウマ、ピアヘルプ、セルフケアの概念まで含めたものになるよう構成した。対象は大学生などの青年期が主であるものの、高校生にもわかりやすい内容になるよう、イラストや図を多用した。また 読み手への侵襲性の問題にも考慮するため、何度も校正を重ねた。 2.については、ある女子高校において申請者自身が試行実施した。高校1年生16名には90分授業で行った。高校2年生は、45分授業を2回実施し、1回目11名、2回目24名であった。倫理的配慮として、体調不良を感じた際は退室を自由にしてよいことを授業冒頭で説明した。授業後に求めた自由記述形式の感想についても、今後の授業改善のための研究利用の趣旨、評価とは無関係で回答も任意であること等を文書と口頭で説明した。 研究利用の同意がとれた授業感想のみを集約した結果、1.テキストについてはイラストが多いため、わかりやすく理解できる内容であること、2.解離に関する説明部分が難しく感じられること、3.冊子の綴じ方に工夫を施してほしいこと、以上の意見が提出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心理教育テキストについてはいくつかの修正点はあるものの、ある程度の方向性を定めることができた。また、心理教育テキストを実際に高校生を対象に試行実施することができ、授業の感想から心理教育テキストや授業進行に関する様々な貴重な意見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目である2019年度は、1.高校生だけでなく大学生にも協力者を得て、さらに意見を募ること、2.高校生・大学生の意見を元に心理教育テキストの文面、授業内容の修正を行い、心理教育テキストとその実施要領を完成させること、3.実施効果の測定手法を選定し、効果検証の準備段階に入りたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
心理教育テキストの印刷費に関しては間接経費により支出することができたため。残額は、2018年度に試行実施した結果を受けてテキスト修正に関わる印刷費、現時点までのデータに関する国内学会発表費にあてる予定である。
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