研究実績の概要 |
セルフ・コントロールは、「衝動性の抑制」や「満足の遅延」を意味する用語として扱われることが多く、その機能の中核は、「(望ましくない、あるいは不適切な)行動の抑制」にあるとされてきた(Baumeister et al., 2007;McKee et al., 2014)。しかしながら、セルフ・コントロールには、もう一つ「(望ましい、あるいは適切な)行動の開始」という重要な役割が存在する(De Boer et al, 2011;De Ridder et al., 2011;Hoyle et al., 2016;杉若, 1998)。本研究の第一の目的は、セルフ・コントロールの二元性を検証することにある。2019年度は、理論先行で提唱されてきた「セルフ・コントロールの二元性」を実証的に示すためのデータ収集を行った。従来の関連研究で広く用いられてきたセルフ・コントロール尺度(Self-Control Schedule(Rosenbaum, 1980);Redressive-Reformative Self-Control Scale(杉若, 1995);Self-Control Scale(Tangney et al., 2004)など )ならびに関連文献から収集された64項目をもとに質問紙を作成し、大学生304名を対象に調査を実施した。データの入力とチェックを済ませ、現在は、データ解析を続行中である。
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