一連の研究によって,死と直面する終末期の意思決定において後悔しないためには,文化社会的背景に適合する感情調整が重要であることが確認された。日本人が死と向き合う際に,陰陽思想に基づく,受容することでの感情調整が有効であることが示された。また,「人生の価値志向性尺度」が開発され,人生の価値が明確になることは,人生を受け入れ,後悔を減らすことにつながる可能性が示唆された。これらの結果から,人生の価値志向性を通して自身の人生の価値と向き合い,理想の感情状態に向かう道筋を確認した上で,有効な感情調整方略を促すことができる具体的な意思決定支援プログラムの開発の必要性について提言した。
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