研究課題/領域番号 |
18K03125
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
桂田 恵美子 関西学院大学, 文学部, 教授 (90291989)
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研究分担者 |
谷向 みつえ 関西福祉科学大学, 心理科学部, 教授 (20352982)
赤澤 淳子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (90291880)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 愛着 / 適応 / 社会養護の子ども / 幼児期 / 青年前期 / 縦断研究 / AAP / Doll Play |
研究実績の概要 |
本研究の目的は児童養護施設入所児の幼児期と青年前期における愛着の変化や青年期の愛着と適応との関連について縦断的に検討することである。幼児期の愛着については、2010年度の本研究と同様の研究者構成による科研研究「児童養護施設入所児とケアワーカーの愛着及び相互作用に関する基礎研究」で測定できており、本研究においては、青年前期に達したその子どもたちの愛着を測定し、幼少期からの愛着の変化や現在の愛着と生活における適応との関連を検討することを目的とした。 本年度、アメリカ人研究者に依頼したAdult Attachment Projective(AAP)のコーディングの結果が届き、予定したデータは揃ったので、データ分析を行った。その結果、AAPの判定とユース・セルフレポートや学校生活・施設での生活に関する本人のインタビュー調査により判定された青年の適応の関連は一部では見られたものの、予測したほどの関連は見られなかった。また、幼児期の愛着と現在の適応との関連も予測したほどの結果は見られなかった。そこで、本年度は、幼児期から青年期への愛着の変化に注目して、子どもの成長をずっと見てきている施設職員にインタビューを行い、その後、愛着の変化をフィードバックするということを行った。また、参加した子どもたちのバックグラウンド調査(親との面会、虐待経験、親族や友人の喪失など有無に関して)を施設職員に依頼した。これについては、まだ回収できていない状態である。今後は、このデータを収集後、愛着との関連を分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本来ならば、本年度で研究を終了する予定であった。しかし、新型コロナウィルスの流行の第6波が到来し、研究代表者と分担者が集まってデータ分析の結果を議論したりする機会が全く持てなかった。その為、1年間の再延長を申請し、承認された。 現在までの進捗状況としては、青年前期の愛着パターンを測定するAdult Attachment Projective(AAP)、問題行動の程度を測定する「ユース・セルフレポート」、信頼感、主観的幸福感、アダルト・アタッチメント・スタイル(ECR-RS)を測定する質問紙調査、研究参加児の認知的能力をみるための作文、学校や施設での生活の適応を測定するための半構造化面接は全て実施終了し、入力済みである。AAP作成者によるAAP(愛着)の判定も終了し、作文や児童本人のインタビューによる適応に関する項目も評定基準を作成し、判定結果も出そろった。これで、最初に予定したデータは全て収集できたので、分析を行った。しかし、予測したほど、愛着と適応との関連が見られなかった。そこで、本年度は、施設職員からみた子どもたちの適応状態をインタビューした。これについては、一部書き起こしが終了している。また、子どもたちの背景(親との面会、虐待経験、親族や友人の喪失など有無等)について施設職員に調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究代表者と研究分担者が対面で議論することは難しいと考えられるため、本年度はZoomによる会議をより頻繁に開催し、得られた結果について検討していく。まず、これまでに行った分析結果について、何を学会発表や論文として発表できるかを話合い、その担当なども話し合う。そして、昨年度新たに行った子どもの適応に関する施設職員のインタビューや子どもの背景調査に関して、書き起こしやデータ入力を春学期中に終え、夏休み中に研究代表者と研究分担者での検討会を行う予定である。本年度は、国際学会は無理かもしれないが、国内の学会において、結果を発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、研究が遅延し、研究期間の延長申請が認められため、次年度使用額が発生した。コロナ禍における研究者間の話し合いなどは、全てオンラインで行い、計画した旅費が未使用のままであるため、次年度使用額が生じた。また、最終年度は、主に、学会発表等の旅費を使用計画に入れていたが、国内・国際学会は全てオンラインとなり、計画通りには使用できなかった。今後は、対面開催の学会に積極的に参加し、旅費として使用する計画である。
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