研究実績の概要 |
本研究の目的は児童養護施設入所児の幼児期と青年前期における愛着の変化や青年期の愛着と適応との関連について縦断的に検討することである。幼児期の愛着については、2010年度の本研究と同様の研究者構成による科研研究「児童養護施設入所児とケアワーカーの愛着及び相互作用に関する基礎研究」で測定できており、本研究においては、青年前期に達したその子どもたちの愛着を測定し、幼少期からの愛着の変化や現在の愛着と生活における適応との関連を検討することを目的とした。 本年度は全てのデータが揃い、データ分析を行った。その結果、幼児期から青年期にかけて愛着パターンにはある程度の継続性があることがわかった。これは、本研究の参加者たちが高校生まで同じ児童養護施設で生活し、環境的には安定していることによるものであると考えられる。また、幼児期から青年前期まで、変わらず回避型の愛着パターンであった子どもはケアワーカーの報告によるネガティブイベントが多く、中学、高校の卒業後の進路が希望するものではなかったと報告されることが多かった。このような結果を国内と海外の学会で発表した。発表は以下の通りである。 桂田恵美子・谷向みつえ・赤澤淳子(2022,9).児童養護施設入所児童の愛着パターンの安定性:幼児期から青年前期にかけて,日本心理学会第86回大会(日本大学) Katsurada, E., Tanimukai, M., & Akazawa, J. (2023.3). Stability of Attachment Patterns of Japanese Children From Preschooler to Teen. SRCD 2023 Biennial Meeting, Salt Lake City, Utah, U. S.
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