研究実績の概要 |
本研究の主要な目的は、2010年度の科研研究「児童養護施設入所児とケアワーカーの愛着及び相互作用に関する基礎研究」で測定された幼児期の愛着が10代となった青年前期において変化しているのか、継続しているのかを調べることである。また、幼児期や青年前期の愛着パターンが日常生活の適応に関連しているのかを検討することを第2の目的とした。χ2検定の結果、17名中8名(47%)が幼児期から青年前期の愛着パターンが同じであり、幼児期と青年前期の愛着パターンは有意に関連していることが示された。青年前期の適応については、愛着不安定型は安定型に比べユースセルフレポートの「思考の問題」得点が有意に高く、幼児期の愛着による分類ではその差異は有意傾向であった。また、不安定型の一つであるとらわれ型の青年は他の愛着パターンの者よりも、施設内での適応得点が有意に高かった。しかし、同時に10年後の自分がどのようになっているかについての作文において、内容の一貫性に欠けていたり、10年後の自分を思い描けない内容であり評価が低かった。このことから、とらわれ型青年の施設内での適応の良さは認知的な脆弱性と関連している可能性があると思われる。学校生活での適応に関しては、愛着バターンの分類による有意な違いは見られなかった。 本年度は以下の学会発表が認められた。 Katsurada, E., Tanimukai, M., & Akazawa, J. (2024, 6). The association between attachment patterns and emotional and behavioral problems among Japanese institutionalized teenagers. 27th Biennial Meeting of ISSBD, Lisbon, Portugal.
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