研究課題/領域番号 |
18K03126
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
葛島 知加 (横山知加) 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 科研費研究員 (20814148)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 周産期 / 不安症 / 認知行動療法 / 遠隔医療 / 治療開発 / 前後比較試験 / 心理療法 |
研究実績の概要 |
本研究では、周産期の不安症に対する治療とケアの向上を目的として、①妊産婦の不安症に対して産前から産後まで途切れのない支援を実現するための認知行動療法(cognitive behavioral therapy; CBT)を開発し、②前後比較デザインによって、開発したCBTの実施可能性と予備的な有効性を検証する。①CBTの開発では、これまで世界中で報告されているあらゆる介入研究と、妊産婦へのCBTに関する文献を精査してきた。平成30年度は妊産婦に対するCBTとして最も基本的なテキストとして捉えられる書籍「Cognitive Behavioral Therapy for Prenatal Distress」(Wenzel with Kleiman, 2015)の翻訳出版を終えた。CBTプログラム試案として、不安症の妊産婦を対象とした集団CBT のランダム化比較試験を実施しているカナダのGreen ら(2018)が出版したワークブックを参考に、わが国の周産期メンタルヘルスの実情に合わせたマテリアル作成に着手した。また産褥期や授乳育児で外出が難しい等の妊産婦が置かれている環境に対応するため、本研究では産後に遠隔技術を活用したCBTを計画しているが、連携研究者や連携医療機関の関係者と遠隔CBTの具体的な導入案を検討してきた。さらに②臨床試験を推進するため、連携医療機関である医療法人和楽会心療内科・神経科赤坂クリニックとの連携体制を整えた。具体的には院内に女性メンタルヘルス外来を開設し、本研究の対象症例のリクルートを確実に行えるよう実施運営体制を整えた。そして円滑なリクルートを実現するために、女性メンタルヘルス外来ホームページ内に公開する研究紹介ページの作成や院内医師向けに広報活動する等、臨床試験の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに臨床試験の開始に至っていないものの、我が国での地域医療や精神保健の枠組みで実施できる介入プログラムとなるよう検討を重ねて、良質なマテリアルの整備が進められている。さらに連携医療機関との連携体制を整え、臨床試験におけるリクルートを円滑に開始するための準備が着実に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、研究プロトコルを確定し、倫理委員会(国立精神・神経医療研究センター倫理員会および医療法人和楽会倫理委員会)の承認を得て、予備試行を行う。そして予備試行を踏まえ、研究デザインやCBTプログラムに改良を加えて、今年度の後期に臨床試験を開始したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では遠隔技術を活用したCBTを計画しているが、当初導入予定であった通信システム(WebEx Meeting Center)を採用しなかったため、本年度中に当該導入費を使用しなかった。本年度、わが国の周産期メンタルヘルス支援の現状を踏まえて、社会実装に向けたより簡便な遠隔技術によるCBTについて連携研究者や連携医療機関の関係者と検討を重ねており、次年度に本研究で用いる通信システムを決定し、この導入費として本年度の未使用金を使用する予定である。
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