研究課題/領域番号 |
18K03127
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 忠義 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (70333763)
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研究分担者 |
松川 春樹 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (00769664)
高橋 真理 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助手 (20751069)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学生相談および障害学生支援の組織・体制 / Webページ調査 / 現実面の支援・心理面の支援 / 教職員との協働 / 障害学生支援の体制整備 / 多水準活動モデル |
研究実績の概要 |
我が国の国立大学のWebページを対象に,学生相談と障害学生支援の組織・体制および活動内容について調査を実施した。その結果,組織形態は学生相談と障害学生支援が別々の機関・組織になっている「独立型」が65~70%と中心を占めていること,1つの機関・組織内で部門として分かれている「部門型」の方が多様な活動を行っていること,学生相談では支援活動の情報提供が不十分であることが明らかになった。 学生相談と障害学生支援の担当者が一緒に対応した事例に基づき,両者の連携・協働のあり方について検討した。その結果,障害学生支援においては,具体的な支援方法の検討・提示といった「現実面の支援」と同時に,支援を受けることについての感情・受け止め等に関する「心理面の支援」が必要であること,協働に際して役割分担や支援方策の検討・見直しに困難が生じやすいこと,社会生活移行後も見据えた支援が重要であることが明らかになった。また,発達障害学生への支援事例を対象とした事例研究において,学生相談や障害学生支援の専門部署の担当者と学生の所属する学部の教職員との連携により,具体的な支援の検討・実践が可能になったこと,専門部署の担当者は,学生と教職員等との関係をより良いものにするための「触媒の機能」を果たす必要があることが明らかになった。 障害学生支援部署の設置に至る経緯,その後の障害学生支援や学生相談の活動に基づき,障害学生支援の体制整備の方策,その活動充実化のための実践のあり方について検討した。その結果,体制整備に向けては全学レベルの理解・承認を得ることを目的とした多水準の活動が有効であり,特に共同研究に基づく実践と発信,学生支援を担当する大学執行部や全学委員会への報告・提言が重要であった。障害学生支援部署設置後も,多水準活動モデルによる活動が有効であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国立大学の学生相談および障害学生支援の体制・組織や活動,活動に関する情報提供に関する実情が明らかになった。 個別支援事例の分析により,学生相談と障害学生支援の協働の有効性と留意点,専門部署と学生の所属する学部や研究科の教職員との連携の効果や意義が明らかになった。 障害学生支援の体制整備やその後の実践の充実化のプロセスを分析することにより,共同研究に基づく実践や発信,全学レベルの理解・承認を得るための活動,学生相談と障害学生支援の担当者の協働による多水準活動モデルに基づく実践が重要であることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
学生相談および障害学生支援の組織・体制や活動について,Web調査や質問紙調査の分析を進め,その詳細を明らかにする。 学生相談および障害学生支援の担当者を対象にした調査の分析により,両者の連携・協働の促進要因や阻害要因等を明らかにする 質問紙調査の結果に基づき,学生相談や障害学生支援担当者を対象としたインタビュー調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学生相談および障害学生支援の機関を対象とした質問紙調査の対象を国立大学に絞ったことにより,次年度使用が生じた。 次年度は,訪問調査の規模を予定より拡大して実施する予定である。
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