研究課題
基盤研究(C)
複数の臨床群(統合失調症群とパーソナリティ障害群/自閉アスペルガー症群)において,種々のロールシャッハ法における各指標を検討した結果,1) Xu%が統合失調症を他の臨床群から鑑別する力のあること,2) カード6の平凡反応(P)数は,パーソナリティ障害群は他の臨床群より有意に多いこと,つまり,鑑別指標としての価値を有すること,3)その反応に「黒色」(C')が使用されたか否かが,統合失調症と自閉アスペルガー症を鑑別し得る可能性が高いことなどが明らかとなった。
臨床心理学
統合失調症,自閉スペクトラム症,パーソナリティ障害とを鑑別し得る指標を抽出し得たことで,当初予定していた方法論とは異なりはしたものの,ある程度所期の目的は達成できたと思われる。今回得られた指標は,臨床実践の場において鑑別に困難を極めるケースにおいて,その判断の参考になり得よう。適切な診断をなすことで,患者に不利益を回避させ,より精度の高い治療を提供できることは,社会的に見ても極めて意義のあることだと思われる。