研究課題
近年,定時制高校には,心理的問題を抱える生徒が多く所属し,心理的支援が重要視されている。しかし,定時制高校生の心理適応に関する実証的な研究はない。応募者は,これまで、定時制高校生が高い抑うつを抱え,行動面認知面で抑うつのリスク要因を有していることを示した。欧米では,青年期の抑うつに対して認知行動療法による介入の効果が示されおり,応募者も定時制高校において短期的な認知行動療法的介入を実施してきたが,対照群の設定等の問題から十分な効果検討が行えていない。そこで,本研究では,平成30年度に開校する定時制・通信制高校と連携し,生徒の抑うつ予防を目的とした学級規模の認知行動療法的介入プログラムを実施し,その効果を検討する。本年度は,プログラムの開発を行い,介入マニュアルとワークシートの作成を行った。定時制高校においては,全12回(24時間)でプログラムを構成し,9クラスを対象に実施した。通信制高校については全4回(4時間)でプログラムを構成し実施した。両方のプログラムとも,①ソーシャルスキルトレーニング,②認知再構成法,③アンガーマネジメント,④問題解決スキルトレーニングという4つの構成要素から成った。介入効果について,抑うつ等の尺度による変化および生徒の参加度等で検討を行った。また,本年度の介入をもとに次年度に向けて介入内容の改変を行った。加えて,本年度は介入者トレーニングを,13名を対象に8時間実施した。
2: おおむね順調に進展している
介入プログラムの開発及び実施,また介入者トレーニングの実施を行うことができた。次年度に向けたプログラムの改変も行っている。本年度残された課題としては,介入者トレーニングの効果測定の方法の再検討およびWaiting-list群の設定について学校のカリキュラムに合わせて検討することが挙げられる。
今後は,本年度の介入効果および臨床的有用性について分析を行う。また次年度は,プログラムの実施及び介入者トレーニングを引き続き行う。介入者トレーニングの効果検討について,測定指標や方法について再検討を行うこととする。
すべて 2018
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認知行動療法研究
巻: 44 ページ: 137-146
https://doi.org/10.24468/jjbct.17-194