研究課題
近年,定時制高校には,心理的問題を抱える生徒が多く所属し,心理的支援が重要視されている。しかし,定時制高校生の心理適応に関する実証的な介入研究はなく,どのような介入が効果的なのかは明らかとなっていない。本研究では,定時制・通信制高校と連携し,生徒の抑うつ予防を目的とした学級規模の認知行動療法的介入プログラムを実施し,その効果を検討することを目的としている。また,介入者トレーニングの開発や介入マニュアルの整備を行い,介入効果の検討とともに介入の質の担保や有用性についても検討していく。本年度は,定時制高校において,全12回(24時間)のプログラムを9クラスを対象に実施した。プログラムは前年度のものと構成要素は同じとしたが,内容の改訂を行った。また,通信制高校については全4回(4時間)のプログラムを実施した。前年度の実施時の様子や介入結果を参考に,本年度は,定時制高校とは異なり,ソーシャルスキルのみの介入とした。両課程の介入効果について,抑うつ等の尺度による変化および生徒の参加度といった指標で検討を行った。抑うつやソーシャルスキルの改善がみられ,学校適応感の向上もみられた。生徒や教員からのプログラムに対する評価も好評であった。本年度は介入者トレーニングの実施が予定通りに進んでいないため,介入者に対するアンケートを別途実施することとした。そのアンケートをもとに,介入に必要なスキルのチェックリスト作成の準備を行い,トレーニング内容の改訂も検討する必要がある。また,コロナウイルスの影響もあり,プログラムの実施や内容の修正が必要となっている。
4: 遅れている
高校生のデータ収集は行えているものの,研究者及び学校の都合で,実施者の訓練プログラムの実施はできなかたっため。
コロナウイルスの感染拡大の影響で,休校のためプログラムの実施スケジュールが変更となり,また,プログラム内の主となる活動であるペアワークやグループワークの実施が困難となっている。そのため,おおきくプログラム内容の修正が必要であり,また,介入者トレーニングもオンラインで学習できるものを作成する必要があると考えている。そのため,今後は,学校の状況に合わせたプログラムの変更及び研究計画の変更を行っていく。
当該年度は,研究代表者の都合で研究が中断した時期があり,予定していた学会参加ができなかったため,次年度使用額は生じた。今後,学会参加や研究協力者への謝金,論文校正費用にあてる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (3件)
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