研究課題/領域番号 |
18K03144
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
伊藤 義徳 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (40367082)
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研究分担者 |
佐藤 徳 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (00422626)
杉浦 義典 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20377609)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自殺念慮 / マインドフルネス / ADHD傾向 / OGM / MBCT / セルフ・コンパッション |
研究実績の概要 |
本年度は予定していた介入研究二つが実施できず,調査研究一つのみ行った。 本年度行った研究は以下の通りである。自殺念慮に影響を及ぼす要因として,ADHD傾向の高さが指摘されている(Sun, Kuja-Halkola, Faraone et al., 2019)。ADHD傾向はその特性に由来して「やりたいことがうまく出来ない」と感じる主観的失敗経験を多く蓄積していることが指摘されている(Ramsay, 2010) 。そこで本研究では,ADHD傾向に伴う失敗経験の蓄積が,精神的苦痛をより高めるプロセスを検証し,さらにそのプロセスに対するマインドフルネスやコンパッションが及ぼす影響を検討した。具体的には,失敗経験が自己批判傾向を高めることで精神健康に悪影響を及ぼす媒介モデルと,これに対するマインドフルネスやコンパッションの調整効果を検討した。308名の大学生を対象とした分析の結果,ADHD傾向が失敗経験を介して精神健康の悪化をもたらす部分媒介モデルが支持され,そのプロセスにおける自己批判傾向の軽減を介して,セルフ・コンパッションが精神健康の緩和をもたらす可能性が示唆された。こうした成果から,ADHD傾向を有する者の自殺行動の減少に,マインドフルネスやコンパッションが一定の役割を果たす可能性が示唆されたと言える。 このほか,本研究課題に関するこれまでの研究成果について,日本認知・行動療法学会にてポスター発表を2件行った。また日本マインドフルネス学会において,本研究課題の成果を含むプレゼンテーションを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,新型コロナウイルスの影響もあり,予定していた介入研究を実施することが出来なかった。また,予定していた調査研究も,対象者等の制限から変更を余儀なくされた。予定されたいた国際学会も中止となった。そのため,進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究課題の最終年度であり,介入研究を一つ実施し,支援者の養成も行う予定である。介入研究のデザインは確立しているため,参加者を募集することが一番の課題となる。介入研究も,昨今のコロナの影響を踏まえ,遠隔ツールによる実施を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で予定した研究会が延期となったため,出張旅費や宿泊費を計上できなかった。新年度はZoomにより研究会を実施するため,出張旅費や宿泊費としては計上せず,マインドフルネス指導者を育成するための研修費に上乗せして使用する予定である。
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