研究課題/領域番号 |
18K03144
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
伊藤 義徳 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (40367082)
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研究分担者 |
佐藤 徳 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (00422626)
杉浦 義典 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20377609)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マインドフルネス介入 / 言語支援 / 只管打坐 / ストレス緩和 |
研究実績の概要 |
本年度は,二つの介入計画を実施していたが,コロナの影響で一つのみ実施した。マインドフルネス介入のメカニズムについてのアナログ研究であり,指導者の言語的関与の意義について実証的に検討した。マインドフルネス介入の指導を行うにあたり,瞑想最中の声がけや瞑想後の質疑応答が不可欠と言われるが,本邦の禅瞑想の文脈においては,そうした指導はむしろ効果(悟り)を阻害するものとみなされてきた。そこで,瞑想中の声がけや終了後の質疑応答を行う「言語支援群」,終了後の質疑応答のみを行う「質疑応答群」,一切の言語支援を省く「言語支援無し群」の3群を設定し,それ以外の要素を統制した上で,大学生のストレス軽減のための4セッションプログラムの効果を比較した。介入者は4年以上の瞑想経験やリトリート参加の経験を持ち,瞑想指導のスーパーバイズを受けていた。その結果,介入前後のストレスに関する指標は,言語支援群のみで有意な軽減が見られた。他方で,マインドフルネスやコンパッションの程度については,各群で異なる効果が見られ,言語支援無し群が,最も気づきに関する指標の変化が大きかった。以上の結果から,短期的で目的を絞った介入を行う上で,言語支援は効率よく効果を得る上で有効だが,言語支援がなくてはマインドフルネスの効果が発揮されないものではないことが示唆された。今回は各群の参加者が少なかったことから,今後人数を取り足し,さらに長期的な効果も検討する必要がある。 この他,精神疾患患者の自殺予防を目的とした介入研究を計画していたが,これは次年度実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響で,医療機関と共同で実施を予定していた介入研究を実施することが出来なかった。また,今年度行った研究も,コロナの影響で参加者を十分集めることが出来ず,今後参加者をさらに増やして分析を行う必要がある。研究実施を次年度に繰り越し,コロナの状況も見ながら,可能な限り計画の達成を目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
R4年4月より所属を異動したことで,研究組織にも変更が生じたが,昨年度と同様の医療機関で引き続き研究が出来ることとなったため,引き続き計画を遂行していきたい。8セッションからなる自殺念慮者のためのマインドフルネス介入を遠隔で実施し,その効果を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していた介入実験は医療機関と協働で行う予定にしていたが、コロナの影響で診療がストップし、また診療開始後も長く外部の人間が病院に関わったり最低の診療以外の活動が制限される期間が続き、参加者を募集し、介入を行うことが出来なかった。2022年度は通常通りの活動が開始され、現在参加者を募集しているところである。2022年度中には介入を行い、データを取ることが出来る。
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