研究課題/領域番号 |
18K03151
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
松田 与理子 桜美林大学, 健康福祉学群, 准教授 (50649184)
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研究分担者 |
石川 利江 桜美林大学, 大学院 心理学研究科, 教授 (20222979)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ポジティブリーダーシップ / コーチング / 従業員レジリエンス / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
COVID-19によって拍車がかかったVUCA環境において、従業員のレジリエンスを強化することが重要であり、その手法にコーチングが有効であることから、本研究の教育プログラム効果指標として、Employee Resilience Scale(ERS)の日本語版を作成した。ERSの邦訳は、英語版原著者の許可を得て所定の手続きに従い作成した。Web調査会社に委託し、管理職者、一般社員のそれぞれを対象に、2つのWeb調査を実施した。確証的分析の結果、いずれの調査においてもERSは高い適合度を示し、因子的妥当性、信頼性、構成概念妥当性が確認された。 また、2019年度に着手したポジティブ心理学コーチングを応用したポジティブ・リーダーシップの実証研究を進めるため、一般社員を対象にWeb調査を実施した。その結果、上司のポジティブ・リーダーシップは,部下が自身の強みを認識することを促し、部下のワーク・エンゲイジメントを高め、心理的ストレスを軽減することが示唆された。本研究の結果を”The effect of positive leadership on employee work engagement and psychological distress in Japan: The mediating role of strength awareness”と題し、第10回 International Congress of Coaching Psychology(オンライン開催)において発表した。 加えて、2019年度に作成したThe Coaching Behavior Inventory(CBI)、および組織内自尊感情を効果指標とし、パイロット研究として2日間のコーチングスキル教育を実施した。教育前後の値を比較したところ、CBIに小さな効果量、組織内自尊感情に中程度の効果量が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に、マネジリアル・コーチング教育プログラムを開発し、介入を実施する予定であったが、COVID-19の影響を受けて介入の開発・実施は延期せざるを得ない状況となった。コーチング介入研究は、次年度を通して実施する予定である。一方、パンデミック下においてレジリエンスの重要性が高まっていることを受けて、日本初となる従業員レジリエンス測定尺度を開発することができた。したがって、全般的にみてやや遅れが生じていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度に開発した従業員レジリエンス尺度の因子的妥当性についてInternaional Positive Psychology Association (IPPA)World Congress 2021で発表する。また、従業員レジリエンス尺度とThe Coaching Behavior Inventory(CBI)の再検査を実施する。その結果を含めて、論文投稿する予定である。さらに、マネジリアル・コーチング教育プログラムの開発を完了し、2時間 x 6回の介入セッションを実施し、その効果を検証する見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定であった海外研究者を交えたコーチング教育プログラムの開発にかかる海外渡航費、介入協力者に支払う謝礼が次年度に持ち越しとなったことが主な理由である。
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