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2020 年度 実施状況報告書

性犯罪のリスクのある障がい者の社会インテグレーション

研究課題

研究課題/領域番号 18K03157
研究機関聖マリアンナ医科大学

研究代表者

安藤 久美子  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (40510384)

研究分担者 堀江 まゆみ  白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (50259058) [辞退]
小口 芳世  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60445343)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード性犯罪 / 発達障害 / 知的障害 / 治療プログラム / 認知行動療法 / 性犯行 / 再犯防止 / 社会復帰
研究実績の概要

我が国の犯罪統計によれば、平成15年以降の一般刑法犯は減少傾向にある一方で、性犯罪に関しては逆の動きを示しており、依然として再発率の高い犯罪とされている。とくに性犯罪は嗜癖や依存のメカニズムと近似していることから、積極的な治療的介入がなされない限り、自然に問題行動が改善していくことは極めて難しい。そこで、われわれは、性犯罪のリスクの高い知的障害や発達障害をもつ者でも使用可能な治療プログラムとして、性犯罪治療プログラムSPIRiTS:Sexual Offender Preventive Intervention and Re-integrative Treatment Schema を開発し、その実行可能性を確認することとした。
とくに、地域で広く活用できるように、医師や心理士等の資格のない支援者でも使用可能なプログラムとなることを目標とし、プログラムを進行するためのファシリテーターの育成やワークブックの進行用のマニュアル等の改訂・精緻化にも取り組んだ。実際に全国のいくつかの地域において非専門家である支援者を対象としたプログラム研修会を実施した。今後は、地域で社会統合を目指している性犯罪のリスクの高い知的障害や発達障害をもつ者を対象として、本治療プログラムを実践していく予定である。
なお、本治療プログラムについては、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞等のメディアや、内閣府青少年非行・被害防止対策公開シンポジウムでも取り上げられるなど社会的関心とニーズも高まっており、本プログラムの完成により、性犯罪の再犯防止の取り組みにあたって一助となることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

理由
(1) 性に関する問題行動への治療・介入プログラム(SPIRiTS)を実践する支援者(プログラムファシリテーター)養成研修を行い、SPIRITS 治療プログラム
の地域への普及 のための足掛かりを作った。具体的には、性犯罪に関する一般論や性犯罪者のリスクアセスメントについての講義とともに、プログラム参加者、インストラクターの両方の役割を経験しながら、実際に治療・介入プログラム(SPIRiTS)の運営ができるよう2日間の研修プログラムにて支援者を養成した。
(2) 実際に本プログラムを受講した知的障害のある元性犯罪者からフィードバックを受け、性に関する問題行動への治療・介入プログラム(SPIRiTS)を完成させた。
(3)2020年2月より、新しいグループメンバーによる治療プログラムの実践を予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、プログラムの開始を延期しており、現在も対象者を募っている状況である。

今後の研究の推進方策

研究にあたっては、グループプログラムの実施が不可欠であるため、新型コロナウィルス感染拡大に伴う自粛が終了後、できるだけ早い段階で治療を開始する
ことができるよう、準備しておく。プログラム実施の手順は以下の通りとする。
(1)プログラムインストラクター養成研修を実施する:養成研修にあたっては、地域で知的障害・発達障害のある者を支えている支援者(職種は問わない)を対象に2日間の研修プログラムを実施する。研修の質を確保するため、約20名の人数で実施する。
(2) 研修プログラムを受講したインストラクターを中心に、地域で社会統合を目指す性犯罪の既往のある者を対象に、全20回の性犯罪防止のための治療・介入プログラム(SPIRiTS)を実施する。効果検証のためにプログラム終了後も、半年毎にフォローアップを実施し、プログラム実施前後およびフォローアップ期間には、各種ツールを用いたリスク評価を行う。なお、プログラムは少人数のグループ形式(1グループあたり5-8名/ファシリテーター2名)とし、120分/回、週1回の頻度で実施予定である。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していた研修会及び治療プログラムが実施できなかった為、研修会会場費、旅費、謝礼等の諸費用の予算を消化することができなかった。
現時点では、研修会や治療プログラムの再開の見通しが立たないため、明確な日程調整等の計画をたてることはできないが、全国の複数の箇所でファシリテーター養成のための研修会を実施するとともに、研究期間内にできる範囲で、治療プログラムを実践していく予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] 性犯罪者は治療できるのか―SPIRiTSを用いた挑戦2021

    • 著者名/発表者名
      安藤久美子
    • 雑誌名

      週刊医学のあゆみ

      巻: 276 ページ: 879-881

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A treatment strategy for sex offenders in Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Ando Kumiko
    • 雑誌名

      Integrative Clinical Medicine

      巻: 4 ページ: online

    • DOI

      10.15761/ICM.1000178

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 司法領域における児童精神科医の役割2020

    • 著者名/発表者名
      安藤久美子
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 35 ページ: 103-107

  • [学会発表] 委員会シンポジウム(男女共同参画推進委員会) 学術分野における女性の活躍および男女共同参画推進:2017年および2019年調査の比較から2020

    • 著者名/発表者名
      安藤久美子,加茂登志子,榎戸美佐子
    • 学会等名
      第116回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] 発達障害と精神鑑定2020

    • 著者名/発表者名
      安藤久美子
    • 学会等名
      第61回日本児童青年精神医学総会
  • [学会発表] シンポジウムⅠ 司法精神医学における自閉スペクトラム症の位置づけ2020

    • 著者名/発表者名
      安藤久美子
    • 学会等名
      第16回日本司法精神医学会大会
  • [学会発表] 大学院における、高齢者の幻覚妄想状態についての精神医学的病態分析2020

    • 著者名/発表者名
      神山昌也,安藤久美子
    • 学会等名
      第16回日本司法精神医学会大会
  • [学会発表] 一般人口を対象とした我が国の犯罪や司法に関する実態調査―その12020

    • 著者名/発表者名
      戸邉友揮,安藤久美子,神山昌也
    • 学会等名
      第16回日本司法精神医学会大会
  • [学会発表] 一般人口を対象とした我が国の犯罪や司法に関する実態調査―その22020

    • 著者名/発表者名
      安藤久美子,戸邉友揮,神山昌也
    • 学会等名
      第16回日本司法精神医学会大会
  • [学会発表] シンポジウム「平成の犯罪と令和への犯罪精神医学」2020

    • 著者名/発表者名
      安藤久美子
    • 学会等名
      日本犯罪学会第57回総会

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公開日: 2021-12-27  

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