研究課題/領域番号 |
18K03161
|
研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
馬場 天信 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (00388216)
|
研究分担者 |
上地 雄一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (80161214)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | メンタライゼーション / アレキシサイミア / MAS / PRFQ / メンタライズされた感情認識 |
研究実績の概要 |
本年度は初年度ということもあり、メンタライゼーションを測定する邦訳版尺度の信頼性と妥当性を確認する調査と2019年度に実施予定の親の省察機能尺度の信頼性の確認を行うことを目的とした。 Jurist(2017)が作成したメンタライズされた感情認識尺度(Mentalized Affectivity Scale:MAS)を翻訳、バックトランスレーションを行い、最終的に60項目からなる日本語版尺度を作成した。続けて妥当性尺度として、自尊感情尺度、感情調整尺度、TAS-20を用い、Web調査により20~49歳の成人695名(男性350名、女性345名)を対象に調査1を実施した。因子分析の結果、38項目3因子で構成され、感情理解、感情調整、感情の表出不全であり、Juristが見出した因子と一致した。なお、妥当性尺度との相関については、幾つか検討課題はあるものの概ね仮説が支持される結果となった。一方、調査2として親の省察機能質問票(PRFQ)日本語版の作成を目的に0~5歳の子どもを持つ母親318名に対してWeb調査を実施した。Luyten et al(2017)のParental Reflective Functioning Questionnair(PRFQ)の18項目を翻訳、バックトランスレーションした項目を作成し、妥当性尺度として視点別意識尺度、邦訳尺度Parental Self-Agency Measure(PSAM;田坂,2013)、TAS-20を用いた。最終的にPRFQ日本語版は3因子16項目(革新的推察、省察不全、省察的姿勢)で構成され、こちらについても信頼性と妥当性が確認された。 以上より、メンタライズされた感情認識尺度およびParental Reflective Functioning Questionnaire日本語版の信頼性・妥当性が確認され、2019年度の家族3者セットデータの調査で使用可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度に妥当性調査を予定していたが、MAS(メンタライズされた感情認識尺度)日本語版の翻訳、バックトランスレーション作業が早く済んだため、2年目に予定していた妥当性調査を2018年度の信頼性調査と合わせて実施することが可能であった。そのため当初の予定より1段階調査が早く進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は父親、母親、子どもの3者セットデータを回収し、両親のメンタライズされた感情認識の特性が子どものアレキシサイミア傾向にどのように影響しているのか、あるいは、Pearental Reflective Functionningがどのような影響を及ぼしているのかをWeb調査により明らかにする予定である。これらの調査により3年目に予定している介入研究の基礎と土台を作成する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたWeb調査の質問項目数を回答者負担を勘案し減じたことや調査2で回収可能性がそれほど高くないことが予想されたためN数を減じたことにより当初の見積もり金額よりやや支出が減ったことによる。また、学会等での出張旅費が開催地が近かったこともあり残金が発生したことによる。なお次年度使用額は2019年度に予定している親子3者セットデータの回収のN数を増やすことに使用する予定である。3者セットデータの回収は当初の予定金額を増額することで150名セット(合計450名)で回収できる見込みとなる。
|