研究実績の概要 |
保育者養成に特化した人間関係力の育成を目指した心理教育プログラム“サクセスフル・セルフ保育者養成版”(全12レッスン)のうち,プログラムの後半5レッスンを,四年制保育者養成課程4年次後期の授業「教職・保育実践演習」において45名を対象として実施し,その内容や実施方法が適切であるかどうかを検討した。 レッスン終了後,学生にレッスン内容に対する理解度,分かりやすさ,生活への役立ち感等について5件法で尋ねたところ,各評価内容20項目のうち,18項目で「そう思う」「ややそう思う」との回答が8割を超えていたことから,本プログラムは学生にとって分かりやすく役立つ内容になっていることが示唆され,プログラムのねらいに沿ったレッスン評価がなされたと考えられた。具体的には次のような記述内容が見られた。「自分の思いを頑張って伝えることの大切さを感じた」「一人で悩まず,周りの先生に相談することが大切だと感じた」「自分のストレスの原因や反応,ストレスマネジメントを改めて理解することができた」 学生の記述内容から,レッスン内容は学生のコミュニケーション能力や問題解決力等の向上に繋がり,ストレスマネジメントについて考える機会となったこと,グループ活動やロールプレイを取り入れた実施方法は,他の学生の発言や実践から新たな気付きを得たり,実際の場を想定して実践してみることにより様々な気付きや学びがあったりして有効であったことが窺えた。なお,プログラム実施前後の心理社会的要因に関する評価指標には有意な差は見られなかったことから,プログラムの効果については,今後さらに詳細な検討が必要だと考えられる。
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