研究課題
本研究で着目する検索誘導性忘却は,ある事柄を思い出すことを経験すると,それに関連した記憶が抑制される現象である。これまでの研究でマウスにおいて検索誘導性忘却が雌雄共に生じることや,若齢期や老齢期においても生じること,効果が一時的であることが明らかとなった。本年度は,検索誘導性忘却に関わる脳領域について新奇物体再認試験を改変した行動試験を用いて検討した。被験体には,C57BL/6J系雄マウスを用いた。試験は見本期,検索経験期およびテスト期で構成されていた。見本期では異なる2種類の物体を装置内に置きマウスに探索させた。検索経験期では,見本期で提示した物体の一方を装置内に置きマウスに探索させた。テスト期では,検索経験期で提示した物体と新奇な物体を装置内に置きマウスに探索させる条件と,見本期では提示したが検索経験期では提示しなかった物体と新奇な物体を装置内に置きマウスに探索させる条件でテストを行なった。テスト期終了後に脳サンプルを採取し,前頭皮質,海馬や嗅周皮質などの脳領域のc-fosのmRNA発現量を解析した。その結果,前頭皮質や嗅周皮質においてc-fosのmRNA発現量がRp-条件とRp+条件で異なる傾向がみられた。このことから,これらの脳領域の関与が示唆された。現在はc-fosの免疫染色を行ない,より詳細な解析を進めている。
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