本研究課題では、他者の性格や能力などの特性を顔から判断する人間の認知傾向(人相依存)について検討した。まず、人相依存の個人差を測定する新たな方法を開発し、この方法を用いて、一部の人々が種々の特性を顔から極端に推論する一般的で時間的に安定した傾向を持つことや、その傾向が顔表情認知能力とステレオタイプ容認(他者の特性をその社会集団属性[性別など]から推論する傾向)と関連することを示した。以上に加え、人相依存の高い人は実際には顔からの特性推論に長けておらず、推論が誤っていた時に動機づけの低下を示すこと、および、科学的知識の付与と説明責任の付与によって人相依存を低減できることを示唆する研究知見を得た。
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