研究課題
時間感覚はヒトの生活の営みにとって欠かせない基盤的能力であるが,その処理機構に関しては未解明な点が多い.本研究では時間幅認知の修正およびその定着における学習機序を検討した.24名の健常者に時間幅の誤学習パラダイム(間違った時間幅を覚えさせる学習課題)を行い,誤学習後における時間幅認知の自然回復を時系列に分析した.その結果,誤って覚えた時間幅は約2時間後に元に戻った.さらに新たな24名の健常者に,磁気刺激を特定の脳部位に与え,可塑性を高めた後に誤学習を行い,学習効果の延長を検討した.その結果,背外側前頭前皮質に磁気刺激を与えた条件において誤学習の効果は延長した.この結果は,背外側前頭前皮質は新しい時間幅の記憶に関連していることを示唆する.本研究の知見から,時間感覚の記憶の強化・固定化メカニズムに新しい示唆を与えることが期待できる.また本研究の着想に至るまでの研究を論文化した.
1: 当初の計画以上に進展している
予定の実験・分析が順調に進み、論文を投稿できる段階に入った。
論文投稿を進めながら、次の実験を開始する。その知見を次の申請に活かせるようにする。
予定していた学会に学務で参加できず旅費の使用がなかったことから残額が生じた。データを論文化するための英文校閲費、および論文掲載費に使用する。さらに新しい課題条件における実験を行うため、参加者への謝金に使用する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Frontiers in Aging Neuroscience
巻: 12 ページ: 13
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