研究課題
時間感覚はヒトの生活の営みにとって欠かせない基盤的能力であるが,その処理機構に関しては未解明な点が多い.本研究では時間幅認知の修正およびその定着における学習機序を検討した.時間幅の誤学習パラダイム(間違った時間幅を覚えさせる学習課題)を行い,誤学習後における時間幅認知の自然回復を時系列に分析した.その結果,誤って覚えた時間幅は約2時間後に元に戻った.さらに,磁気刺激を特定の脳部位(背外側前頭前皮質,側頭頭頂接合部,一次運動野のいづれか)に与え,可塑性を高めた後に誤学習を行い,学習効果の延長を検討した.その結果,背外側前頭前皮質に磁気刺激を与えた条件において誤学習の効果は少なくとも4時間程度延長した.この結果から,背外側前頭前皮質は新しい時間幅の記憶に関連していることを示唆した.またこの成果を論文化した(Neuromodulation, 2021).本研究の知見から,時間感覚の記憶の強化・固定化メカニズムに新しい示唆を与えることが期待できる.次の実験ではパーキンソン病患者において行う予定であったが,コロナ禍において延期されており,研究期間を1年延長している.環境が整い次第実験を再開する.
3: やや遅れている
健常者の実験は予定通りに進み,論文化まで至った.しかしパーキンソン病患者の実験はコロナ禍において一時中断することになってしまった。
研究期間を1年延長することによってパーキンソン病患者の実験を終了できる見通しとなっている.データが整い次第論文を作成する。
コロナ禍のため実験および学会発表が遂行できない経費があり,その分を次年度に持ち越した.環境が整い次第実験および学会発表を遂行し,助成金を使用する.
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件)
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